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舞台は1898年のロンドン。死体が突如として人に襲いかかるという怪事件が発生。ホームズと助手のワトスンは警察の依頼で調査に乗り出し、不可思議な死体の発生源を突き止めるが、そこで待ち受けていたのはゾンビの大軍勢! しかも、その背後にはゾンビ軍団で国家転覆を図るあの男の影が...! 果たして、ホームズはゾンビ・アウトブレイクを阻止し、ロンドン、いやイギリス全土を救うことができるのか...! という熱いストーリー。 作者のイアン・エジントンさん(ストーリー)とデイビッド・ファブリさん(作画)の2人。イアンさんは沢山の出版社でスーパーヒーロー物だけでなく、『エイリアンvsプレデター』などの映画を原作としたコミックを手がける一方で、歴史改変SFやスチームパンク物のコミックの作者としても知られる人物。 私も先日買って邦訳版を読ませて頂いたのですが、小説『シャーロック・ホームズ』の中で起こった事件やお馴染みの登場人物に加え、実際の歴史の話を組み合わせてストーリーを構築しつつ、ゾンビ物としての面白さを両立しているところに、歴史改変SFを得意とするイアンさんの匠の技を感じました。ホームズとワトソンの軽妙な掛け合いも凄くいいですよ! そして、イアンさんによって組み上げられた世界は、デイビットさんの絵によって一層魅力的に。19世紀のロンドンの街や人々(そして、ゾンビ)を雰囲気たっぷりに描いています。アクション映画が(異常に)好きな私としては、ククリ(グルカナイフ)とリボルバーを手にゾンビに立ち向かうホームズの姿には胸が熱くなりました。 また、この作品には(ネタバレになるので多くは語れませんが)スチームパンク的な要素も盛り込まれてますので、原作やゾンビ物のファンの方はもちろんのこと、スチームパンク物のファンの方にもオススメ。特にゾンビと戦う近衛兵隊の装備は必見です。 この作品の翻訳を担当したのは小説家/翻訳家の北原 尚彦さん。ミステリーやSF、ホラー小説の作者としてだけでなく、シャーロック・ホームズ関連の書籍収集家としても知られ、コナン・ドイル作品の翻訳も行なっている人物。今作では、本文の翻訳だけでなく、原作に詳しくない方にもわかりやすい作品・用語の解説もなさっています。こういう所が、邦訳アメコミの魅力でもありますよね。 読みやすい翻訳で事前知識がほとんど必要ないので、アメコミ初心者の方のみならず、アメコミ・ヒーローはちょっと苦手...という方にもおすすめできる作品です。ホームズかゾンビかスチーム・パンクのどれかが好きな方ならきっと楽しめる作品のはず(全部好きなら楽しさ3倍っ!)。 今回ご紹介した『ヴィクトリアン・アンデッド シャーロック・ホームズvs.ゾンビ』はShoPro Books(小学館集英社プロダクション)より、2310円(税込)でAmazon及び全国の書店にて発売中です。 ちなみに、海外では番外編・続編の『ヴィクトリアン・アンデッド・スペシャル シャーロック・ホームズvs.ジキル/ハイド』や『ヴィクトリアン・アンデッドII シャーロック・ホームズvs.ドラキュラ』なども発表されているので、今後、この2つの対決の邦訳にも期待したいっ...。とはいえ、まずはホームズとゾンビの対決からお楽しみください!
ヴィクトリアン・アンデッド シャーロック・ホームズvs.ゾンビ[小学館集英社プロダクション]
ヴィクトリアン・アンデッド シャーロック・ホームズvs.ゾンビ (ShoPro Books) [単行本][Amazon.co.jp](画像) (傭兵ペンギン)
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