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木野龍逸の「ニッポン・リークス」
2016/2/19(No.039)
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[目次]
1.東電福島第一原発事故トピック
【No.39】甲状腺がんがさらに増加する中、放射線影響の科学的議論なし──県民健康調査
2.メルマガ後記
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1.福島第一原発事故トピック
甲状腺がんがさらに増加する中、放射線影響の科学的議論なし──県民健康調査
<放射線の影響を、大筋で否定した検討委>
2016年2月15日午後1時半、福島駅前のホテルで22回目の県民健康調査検討委員会が開催され、2015年12月31日時点の甲状腺検査の結果が発表された。悪性または悪性疑いの人数は、2011年に始まった1巡目の先行検査で116人、2014年に始まった本格検査では51人、合計167人(うちひとりは手術の結果、良性)になった。昨年11月30日の前回発表時に比べ、2巡目は39人から12人の増加。1巡目は114人から2人増加した。
また検討委員会ではこれまでの調査について「中間取りまとめ」をまとめ、大筋で合意した。中間取りまとめでは、甲状腺検査については先行検査の結果だけを考察し、チェルノブイリ原発事故の例などから「放射線の影響は考えにくいと評価する」と結論づけた。
これまでの検討委では、委員から、放射線の影響が否定できないという指摘も出ていた。星北斗座長は、そうした考えについても考慮する考えを示していたが、結局、評価には含めず、「放射線の影響の可能性は小さいとはいえ現段階ではまだ完全には否定できず」と、評価の後ろに追補のような形で記載されるにとどまり、甲状腺検査を継続する理由とされた。
委員会後の記者会見で私は、「影響を否定できない」という一文を評価(結論)に含めないのかと質したが、星北斗座長は「書きぶり」の問題だとして修正する考えがないことを述べた。後述するように、議論できていない問題、未解決の疑問が多数あるにもかかわらず、「放射線の影響は考えにくい」とした結論には疑問が残った。それは他の記者も同じだったようだ。
そして今回の検討委については、検討経緯に大きな疑問が残った。科学的な議論が中途半端なまま、結論を出してしまったのである。座長は「中間」であることを強調したが、満5年を前にした評価結果であるのは間違いない。果たしてこれが、県民の信頼回復を目指す「検討委員会」といえるのかどうか。
<専門家不在の空虚な議論で結論へ>
前回の検討委員会の後、福島県県民健康調査課の小林弘幸課長が囲み取材に対して、年度内に「中間とりまとめ」をまとめたいという主旨の発言をしていたため、今回は一定の結論が出るものと予想された。ところが、今回の検討委では欠席者が多数あり、とくに甲状腺の問題に関しては、ほとんど専門的な議論が出てこなかった。
全15人の委員のうち、欠席したのは次の6人だった。
放射線医学総合研究所 明石真言・理事
国立医薬品食品衛生研究所 春日文子・安全情報部長(前日本学術会議副会長)
放射線影響研究所 児玉和紀・主任研究員
日本医科大学 清水一雄・名誉教授(日本甲状腺外科学会前理事長)
長崎大学原爆後遺障害医療研究所 高村昇・教授
国立がん研究センター社会と健康研究センター 津金昌一郎・センター長
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