木野龍逸の「ニッポン・リークス」

【No.29】政府が楢葉町に7月解除の方針を示すも、町は慎重な姿勢──判断基準に隔たりあり

2015/03/29 14:26 投稿

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木野龍逸の「ニッポン・リークス」
                   2015/3/29(No.029)
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[目次]
1.東電福島第一原発事故トピック
政府が楢葉町に7月解除の方針を示すも、町は慎重な姿勢──判断基準に隔たりあり
2.気になる原発事故ニュース
3.編集後記
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1.東電福島第一原発事故トピック

政府が楢葉町に7月解除の方針を示すも、町は慎重な姿勢──判断基準に隔たり

 政府は2015年3月23日、ほぼ全域が避難指示解除準備区域に設定されて全村避難が続いている福島県楢葉町の町議会全員協議会で、4月から3か月間の長期宿泊を実施したい考えを示した。3月24日付の福島民友によれば、原子力災害対策現地本部長の高木陽介経産副大臣は協議会終了後に「具体的な日程については町側と協議したい」と話した。

 2014年には田村市と川内村ではそれぞれ、8か月間、5か月間の長期宿泊が終了するとともに避難指示解除準備区域が解除されている。楢葉町でも同じ道筋を辿る可能性は高いが、3月24日の読売新聞(
http://www.yomiuri.co.jp/local/fukushima/news/20150323-OYTNT50158.html)
によれば、出席した町議から「時期尚早」「避難指示解除後、早急に生活再建するのは難しい」「局所的に線量の高い所もあり、女性や子どもへの影響が心配」などと反発する声が出ている。協議会後に松本幸英町長は、「4月早々という方針は初めて聞いたので、内容を精査したい」(3月24日 福島民友 http://www.minyu-net.com/news/news/0324/news10.html)と即答を避けたという。町側がいつから長期宿泊を受け入れるかは未定だ。

 楢葉町は14年5月29日に「帰町の判断について」(http://www.town.naraha.lg.jp/information/info/000654.html)として、松本町長が「早ければ平成27年(2015年)春以降になる」という方針を示した。その後、14年6月2日に役場機能の一部が本来の庁舎で再開したほか、7月31日には役場前の駐車場に食堂2軒(「おらほ亭」と「武ちゃん食堂役場前店」)、日用品や食品を売っている商店1軒(ブイチェーン)が「ここなら商店街」として営業を始めた。また14年6月1日から、町にある常磐線竜田駅〜広野間で電車の運行が再開された。電車は朝6時から夜8時までの間に上下線とも9本(上りはいわき行き)だ。

 楢葉町は15年1月25日から3月1日まで、町民が参加する町政懇談会を27回開催し、町長が直接、意見を聞いた。このうち、私は3月1日の町政懇談会を傍聴した。

 町政懇では、農地の除染が未実施であること、水道水への不安などが住民の口から出ていたほか、楢葉町では15年2月19日に野菜の出荷制限がすべて解除されたが、「家庭菜園で作って食べていいんだなという考えになると、今後は自分で食べる分には自己責任になるのか」という疑問も出た。

 こうした住民の声に対して松本町長は、「昨年5月29日に(帰町は)条件が整えばと言ったが、今の状況で整っているとは思っていない」と説明。商業、医療機関など整備すべきことが残っているという考えを述べた。

 ただし同時に、14年12月28日に解除された南相馬市の特定避難勧奨地点の例を挙げ「あれは楢葉より線量が高い。そこを解除したというのは(政府が)どう考えているのか疑問を持っている」ともいった。また「帰町の判断について」を示した時には、政府から「早ければ27年春以降」の「以降」を削除するよう要求されたという。 

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