12月某日、焼き肉屋。僕は酩酊していた。
来年3月に発売するゲーム実況者わくわくバンドのファーストアルバム、その収録曲のラフミックス音源を聴いて、僕は涙を流しながらハラミをしがんでいた。
その音源は数日前にドラムとベースのRECを終え、仮のギター、キーボード、ボーカルが入ったもの。
仮とはいえ、全てのパートそれぞれは本人達が演奏し、歌ったものがMIXされている。
超パーティ、埼玉スーパーアリーナの1万数千人の前で生演奏をした興奮冷めやらぬまま、僕たちゲーム実況者わくわくバンドは初のアルバム制作に取り掛かっている。
どうも、ヒラノ課長です。
11月某日、レコーディング日。僕はゲーム実況者わくわくバンドのメインコンポーザー、せらみかるの家に来ていた。
ただ、家主はいない。せらみかるの家には、僕ただひとりである。
ゲーム実況者わくわくバンドのレコーディングは基本的に以下のような流れで収録される。
みんなで「せーの」で曲を合わす→ドラム、ベースのリズムRECをする→ギター、キーボードの上物RECをする→歌録りをする。
個別の演奏に合否を出す順は、演者→エンジニア→湯毛、せら→最後に全員で聴いて問題なければOK。
ここで特筆すべきは、湯毛とせらみかるの異常な耳の良さだ。
演奏の最終チェックを担当する二人だが、湯毛にいたってはスマホゲームをしながらリズムのズレ、ピッチのズレを認識し、せらみかるにいたってはチューナーなしでギターがほぼチューニングできてしまうほどの音感の持ち主だ。
音のチェックをしている時によくある光景が、曲を聴いている最中にスマホをいじっている湯毛が、曲が終わると同時にスマホから目を離し、「あそこおかしくないですか?、どこどこをこうできますか?」と、キッチリ添削を始める。
僕が「湯毛ぽ(ゲームしてんのに曲を)いつの間に聴いてたん?」と尋ねると、「ゲームしてるけど耳は曲聴いてるんで。」と、理解不能な回答が返ってきたのが印象的だった。
せらみかるは逆に少し集中して音をチェックをするタイプだ。
要所要所のこだわりは人一倍ある半面、各パートの演奏やアレンジに対する柔軟性も持ち合わせている。
そんな二人の司令塔を軸に、レコーディングを行う時は誰のレコーディングであろうが、5人は時間とスケジュールの許す限り、ほぼ全員一緒にいる事が多い。
わくわくバンドが初めてレコーディングを行ったのが合宿で、全員一緒が当たり前だった環境が下地になっているからなのか、僕はそれがとてもいい風習に思える。
ただ、自分以外のメンバーがレコーディングを行っている時間はなかなかのまとまった時間であり、その時間を有効活用するのは当然の事で、非レコーディングメンバーはそれぞれ遊んだり、持ち込みの仕事をしたり、英気を養ったりと様々である。
その日も、リズムRECの最中にせらみかるはノートPCをスタジオに持ち込み、作業しようとしていた。
その時は彼のユーザーチャンネル開設に向けて、大事な追い込みの時期だった。
ただ、彼は忘れてしまったのである。
大事なノートPCの、アダプターを。
前述した様に、せらみかるはレコーディング作業には欠かせない人物であり、誰のレコーディングであろうとスタジオにはいてもらわないと困る存在だ。
みんなで「せーの」で合わした後、アダプターのささっていないノートPCで作業をするせらみかる。
「うわーー、もう、バッテリーが2%だ~~~」
僕はこんな時に、効率的に順序立てて考えて行動できないほど愚かではない。
せらみかるから家のカギを預かる。
キーホルダーにはウッドマンのラバーストラップが付いていた。
せらみかる邸に到着するとまず、7本ほど転がっているE缶が目に入る。
「こいつは本当にロックマンが好きなんだな」
ノートPCのアダプターを探しながら、僕はそう思った。
12月某日、その日もレコーディング作業を終え、僕は東京から大阪に帰ってきた。
アルバム用の新規に書き起こされた曲たちも段々と形を成してきて、上機嫌だ。
アルバム制作をしている当事者でありながら、このアルバムの完成がとても楽しみになってきた。
僕のギターは現在、これから大量にダビングをするであろう時に備え、メンテナンスに出している。
普段ならギターを置きに真っ直ぐ家に帰るのだが、今日はいつもより身軽。僕はいい気分ついでに、お腹も満たして帰ろうと焼き肉屋に入った。
注文を済ませ、肉とビールに舌鼓を打っている最中、大事なことを思い出した。
大家から新曲のラフミックスが送られているのである。
早速イヤホンで音源を確認した僕は、不覚にも感極まってしまった。
本当にこの曲たちやアルバムを、いろんな人に聴いてもらいたい。
素直にそう思いながら、僕はビールをおかわりした。
来年3月に発売するゲーム実況者わくわくバンドのファーストアルバム、その収録曲のラフミックス音源を聴いて、僕は涙を流しながらハラミをしがんでいた。
その音源は数日前にドラムとベースのRECを終え、仮のギター、キーボード、ボーカルが入ったもの。
仮とはいえ、全てのパートそれぞれは本人達が演奏し、歌ったものがMIXされている。
超パーティ、埼玉スーパーアリーナの1万数千人の前で生演奏をした興奮冷めやらぬまま、僕たちゲーム実況者わくわくバンドは初のアルバム制作に取り掛かっている。
どうも、ヒラノ課長です。
11月某日、レコーディング日。僕はゲーム実況者わくわくバンドのメインコンポーザー、せらみかるの家に来ていた。
ただ、家主はいない。せらみかるの家には、僕ただひとりである。
ゲーム実況者わくわくバンドのレコーディングは基本的に以下のような流れで収録される。
みんなで「せーの」で曲を合わす→ドラム、ベースのリズムRECをする→ギター、キーボードの上物RECをする→歌録りをする。
個別の演奏に合否を出す順は、演者→エンジニア→湯毛、せら→最後に全員で聴いて問題なければOK。
ここで特筆すべきは、湯毛とせらみかるの異常な耳の良さだ。
演奏の最終チェックを担当する二人だが、湯毛にいたってはスマホゲームをしながらリズムのズレ、ピッチのズレを認識し、せらみかるにいたってはチューナーなしでギターがほぼチューニングできてしまうほどの音感の持ち主だ。
音のチェックをしている時によくある光景が、曲を聴いている最中にスマホをいじっている湯毛が、曲が終わると同時にスマホから目を離し、「あそこおかしくないですか?、どこどこをこうできますか?」と、キッチリ添削を始める。
僕が「湯毛ぽ(ゲームしてんのに曲を)いつの間に聴いてたん?」と尋ねると、「ゲームしてるけど耳は曲聴いてるんで。」と、理解不能な回答が返ってきたのが印象的だった。
せらみかるは逆に少し集中して音をチェックをするタイプだ。
要所要所のこだわりは人一倍ある半面、各パートの演奏やアレンジに対する柔軟性も持ち合わせている。
そんな二人の司令塔を軸に、レコーディングを行う時は誰のレコーディングであろうが、5人は時間とスケジュールの許す限り、ほぼ全員一緒にいる事が多い。
わくわくバンドが初めてレコーディングを行ったのが合宿で、全員一緒が当たり前だった環境が下地になっているからなのか、僕はそれがとてもいい風習に思える。
ただ、自分以外のメンバーがレコーディングを行っている時間はなかなかのまとまった時間であり、その時間を有効活用するのは当然の事で、非レコーディングメンバーはそれぞれ遊んだり、持ち込みの仕事をしたり、英気を養ったりと様々である。
その日も、リズムRECの最中にせらみかるはノートPCをスタジオに持ち込み、作業しようとしていた。
その時は彼のユーザーチャンネル開設に向けて、大事な追い込みの時期だった。
ただ、彼は忘れてしまったのである。
大事なノートPCの、アダプターを。
前述した様に、せらみかるはレコーディング作業には欠かせない人物であり、誰のレコーディングであろうとスタジオにはいてもらわないと困る存在だ。
みんなで「せーの」で合わした後、アダプターのささっていないノートPCで作業をするせらみかる。
「うわーー、もう、バッテリーが2%だ~~~」
僕はこんな時に、効率的に順序立てて考えて行動できないほど愚かではない。
せらみかるから家のカギを預かる。
キーホルダーにはウッドマンのラバーストラップが付いていた。
せらみかる邸に到着するとまず、7本ほど転がっているE缶が目に入る。
「こいつは本当にロックマンが好きなんだな」
ノートPCのアダプターを探しながら、僕はそう思った。
12月某日、その日もレコーディング作業を終え、僕は東京から大阪に帰ってきた。
アルバム用の新規に書き起こされた曲たちも段々と形を成してきて、上機嫌だ。
アルバム制作をしている当事者でありながら、このアルバムの完成がとても楽しみになってきた。
僕のギターは現在、これから大量にダビングをするであろう時に備え、メンテナンスに出している。
普段ならギターを置きに真っ直ぐ家に帰るのだが、今日はいつもより身軽。僕はいい気分ついでに、お腹も満たして帰ろうと焼き肉屋に入った。
注文を済ませ、肉とビールに舌鼓を打っている最中、大事なことを思い出した。
大家から新曲のラフミックスが送られているのである。
早速イヤホンで音源を確認した僕は、不覚にも感極まってしまった。
本当にこの曲たちやアルバムを、いろんな人に聴いてもらいたい。
素直にそう思いながら、僕はビールをおかわりした。
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コメント
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(ID:6026605)
レコーディングお疲れ様です。
ゲームしながら曲を聞いて、更に改善点を指摘する湯毛さんすごいですね…!
製作はもちろん大変だと思いますが、その反面楽しそうなメンバーの皆さんが頭の中に浮かんできて、アルバムの発売が更に楽しみになってきました(´∀`*) ヒラノさんもお風邪など召されませんよう、お気をつけください。