オンナのウラガワ ~名器大作戦~
第287回 ドライになり切れないウェットな物事のウラガワ(2)
◆もくじ◆
・ドライになり切れないウェットな物事のウラガワ(2)
・最近の志麻子さん
徳光正行さんとの共著『凶鳴怪談 呪憶』発売中
『でえれえ、やっちもねえ』角川ホラー文庫より6月15日発売
万年アクリルカレンダー再販中
2/25発売『再生 角川ホラー文庫ベストセレクション』に作品収録。重版決定!
映画『遊星王子2021』に出演 8/27公開!
TV「有吉反省会」にヒョウ姿でひきつづき出演中
カドカワ・ミニッツブック版「オンナのウラガワ」配信中
MXTV「5時に夢中!」レギュラー出演中
・著者プロフィール
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湿気に悩まされるこの季節。
感情も生き方も、この国ではドライになり切れずウェットな人や場合が多いのだろうか。
ひきつづき、かつての人気漫画家・新州しな乃(仮名)のこと。
じつは彼女の家族のこともいろいろあるようで……。
岩井さんがたびたび書いている、押しかけマネージャーのことも思い返されるエピソード。
そして、飲み屋のママから聞いた、「死体にもドライになりきれない」話とは。
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2014年11月~19年12月のバックナンバーは、「月別アーカイブ」の欄からご覧ください。
2020年1月「愛しい南国の怖い話のウラガワ」
2月「ひきつづき東南アジアの怖い話のウラガワ」
3月「どこか心残りの別れのウラガワ」
4月「未経験な世の中のあれこれのウラガワ」
5月「「あの人実は」「あの人やっぱり」のウラガワ」
6月「アマビエ的なものや人のウラガワ」
7月「怖い話をエンタメとして楽しみたいウラガワ」
8月「どこか楽しめる怖い話のウラガワ」
9月「エンタメとして味わいたい人の怖さのウラガワ」
10月「いい大人なのに未経験のウラガワ」
11月「まだ猶予があるのかもという気分のウラガワ」
12月「私なりに引っかかる物事のウラガワ」
2021年1月「ゆるく共存していくことを考えさせられるウラガワ」
2月「いつの間にか入り込む怖いもののウラガワ」
3月「もはや共存するしかないあれこれのウラガワ」
4月「変わらぬもの、変わりゆくもののウラガワ」
5月「子どもっぽい大人、大人になっても子どもな人のウラガワ」
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2013年7月~12月 名器手術のウラガワ/エロ界の“あきらめの悪さ”のウラガワ/エロとホラーと風俗嬢のウラガワ/風俗店のパーティーで聞いたウラガワ/エロ話のつもりが怖い話なウラガワ/風俗店の決起集会のウラガワ
2014年1月~10月 ベトナムはホーチミンでのウラガワ/ベトナムの愛人のウラガワ/永遠のつかの間のウラガワ ~韓国の夫、ベトナムの愛人~/浮気夫を追いかけて行ったソウルでのウラガワ/韓国の絶倫男とのウラガワ/ソウルの新愛人のウラガワ/風俗嬢の順位競争のウラガワ/夏本番! 怪談エピソードの数々のウラガワ/「大人の夏休みの日記」なウラガワ/その道のプロな男たちのウラガワ
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台風被害や、あんまりな長雨はさておき、雨というものは映像でも劇的に浪漫的に使われることも多く、妙な落ち着きや不思議な風情も感じるものだ。
日本は高い湿気と多い湿度の気候のせいか、ドライになり切れず感情も生き方もウェットな人や場合が多い。私も、あいつ腹立つわ、縁切りだ、と怒りながらもその後が気になったり、ついこちらから連絡を取ってしまって元の木阿弥、というのも多々ある。
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漫画家としてはあまり売れずに終わったが、金持ちマダムになって優雅な生活をしている岡谷眞子。今も活躍する大御所の新州しな乃と知り合ったのはいいけれど、詐欺めいたお金の無心をされるようになった。
しな乃と長い付き合いがある編集者の永野が理由を尋ねると、ヨーロッパの人気バンド、デーモン・ゴッドのメンバーのハウスと交際していて、彼が病気になったから援助しているという。こりゃ典型的な国際ロマンス詐欺だと呆れ、戦慄もしたが。
「しかし新州しな乃先生は、ハウスとやらに直接、会ってるんですかね」
私は、もっぱら永野と話し合いをしている。眞子はもうひたすら逃げているというより、ブロックして着拒して、しな乃との関わりを断ってしまったのだ。
むしろ、無関係な私が妙に好奇心をかき立てられている。とはいえ永野と連絡を取り合っているだけで、さすがにしな乃本人と連絡を取るのは嫌だ。
「何度か日本にお忍びで来た、みたいなことはいってました。ということは、会ってるんでしょうね。そいつがハウスを騙る、真っ赤な偽者としても」
「かなりそっくりだとしても、本物の映像、写真を見て違う、と疑わないのかな」
「いや、いったん思い込んでしまったら、本物と信じ込めるのかも」
そういえば去年、ある人気ヴィジュアル系バンドのメンバーに成りすました男が、詐欺で捕まっていた。内縁の妻の父から、多額の金をだまし取っていたのだが。内縁の妻も夫を、人気バンドのメンバーと信じ込んでいた。
さらに彼は実母を、本物が出演するコンサートに招待したりしていたとか。母は遠目にとはいえ、ステージに立つメンバーを本当に息子と思い込んでいたという。
確かに本物は、派手なメイクで素顔がわかりにくいが、同じ位置に似たタトゥーがある、というだけで成りすませるものだろうか。いや、成りすませてしまったんだよな。
ともあれ、自分とは関係なくてもモヤモヤする話を抱え、漫画とも出版業界ともまったく関係ない芸人マーくんに久しぶりに会ったので、これらをぶちまけてみた。すると、意表を突くことをいわれた。
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