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【Twitter事例】ケンタッキー、バースデーキャンペーンを通じて見えてきたお客様の姿。

2012/10/04 08:30 投稿

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 KFC経営企画室、川波 朋子

 

 

 「いや~、ほんとにタイムライン見てて涙ちょちょぎれました、今回。別に応募規約にエピソードつぶやいてとか何もなかったんですけどね。ありがたいことです。」

 

そう語るのは日本ケンタッキー・フライド・チキン株式会社(以下KFC)でリレーションシップ・マーケティングに携わる川波朋子さん。2012年9月7日〜9日に実施された3日間のキャンペーンをそう振り返る。これまで、グループインタビューなどで部分的にしか見えていなかった ”お客様の姿” を肌で感じ、KFCに対するファンの率直な想いを体で受け止めた。

 

 

カーネルバースデーにあわせたキャンペーン

 

キャンペーンは、カーネルバースデーに合わせ、Twitter社の「プロモトレンド」を使って行われた。これは期日までにKFC公式Twitterアカウント「@KFC_jp」をTwitterでフォローし、「#KFC1年分プレゼント」をツイート(もしくはリツイート)することで応募できるキャンペーンで、応募者から抽選でオリジナルチキン1年分が当たるというものだ。

 

図:Twitter社のプロモーション管理用ダッシュボード

 

結果としては、5日間で1500万インプレッション、63%の高エンゲージメント率を達成し、大成功となった。#ツイートは17,000ツイート以上にのぼり、フォロワー数もキャンペーン開始前の4.8万人から、5日後の12日には8.7万人と急増している。

 

Twitter社によると、この数値は同社が手がけたプロモーション事例の中でも飛び抜けて高い事例だということだ。KFCが長年培ってきたファンとのつながりがTwitterというチャネルを通じて初めて可視化されたということだろう。

 

「プロモーションとしても非常によかったのですが、それ以上に得られたものがありました。沢山のフォロアーが自発的に「KFCとわたし」のような心温まる思い出をツイートしてくださったんです。別に応募規約にそのようなことはなかったんですが、子どもの頃からハレの日のごちそうとして、お客様に召し上がっていただいたことが伝わり私たちも感動しました。これまで一方的にパブリシティを打つだけでは、知りえなかった個人的なストーリーが共有されるのは、ソーシャルメディアならではだなぁと。(川波氏)

 

Twitterを使ったこのキャンペーンは、数字以上の成果も残したようだ。

 

 

新たなコンタクトポイント、交錯する期待と不安

同社では、ファストフードという商材から長年テレビCMによるプロモーションを多用してきた。ただ、マスメディアへの露出で新製品やキャンペーンに対する来店客数は増えるものの、定番商品であるオリジナルチキンの売上が横ばい状態であったという。

 

また、キャンペーン自体がそれぞれ単発で実施されることから当たり外れも大きく、継続的な顧客接点を開拓し、維持する必要性が重要視されていたということだ。

 

そんな中、渡辺社長の指揮の元設定された2012年の中期経営計画ではRMTF(リレーションシップ・マーケティングタスクフォース) が編成された。RMTFは経営企画、広報、KFC/ピザハットのマーケティング部門から成る部門横断的チーム。同社においては、前例のないイノベーティブな施策を小さくはじめ、感触が良ければ各事業部で広げていく研究機関の役割を果たす。

 

  

「今回のプロモーションは、私達にとってひとつの賭けでした。感触がよければ広げていくとはいえ、逆に言うと、ここで結果が出せなければ次はないかもしれない。(川波氏)

 

川波氏の言葉からは、デジタルマーケティングに携わる担当者としての必死さが伝わってきた。デジタルマーケティングの予算はテレビなどを含む他の施策の1%比べるとごくわずか。歴史あるマスマーケティングに比べて実績も少ないことから、予算が少ないとは言え稟議には非常に時間がかかる。理屈でその有用性を証明することは難しい。

 

「今回行ったキャンペーンでの成功に加え、今年2月には ”チキンフィレダブル” がTwitter効果で通常販売の約4倍、1日に2,000個を販売した実績もあります。社内でも少しずつその効果が認知され、クロスメディアでのプロモーションを実現できれば相乗効果はより大きくなるはずだという手応えを強く感じています。(川波氏)」

 

実績としても、広告予算としても大きいテレビなどマスメディアの施策とインターネットやソーシャルメディアの施策を連携させるのは現時点ではまだまだ難しいという。比較的新しいソリューションであるソーシャルメディアは、提案する側の広告代理店側でもまだ試行錯誤の段階、というのが実情のようだ。一昔前のインターネット広告のようにいずれは当たり前となる時代も来るのだろうが、黎明期にアグレッシブな施策を採り、先行者利益を確保するのはチャンスと共にリスクもある。

 

 

ブランドに届けられる、声、声、声

 

 

一方で、クライアントであるKFCを熱くさせるのは、今までとは違った「顧客からのダイレクトな声」だ。

 

「やっぱりうちのお客様は肉食系ですね。パワフルというか、がっつりいきたい、と(笑) 今後はこういったお客様の温かい声を店舗のスタッフに届けていきたい。実際にお客様と接している人たちこそ、こういった声をきっと待っていると思うんです。(川波氏)」

 

実際に、応募規約では何も触れていなかったものの、キャンペーンにあたってはファンたちからKFCに、そしてKFCのチキンに対する熱い想いが語られた。

 

小学生の頃、父親がパーティーバーレル抱えて帰ってくるとヒーローだったりする。父親なりに気を引きたかったんだな~。

 

うちの旦那さまは、鹿児島から名古屋に出てきて初めてケンタッキーを食べ、この世にこんな美味しいものが、あるなんて~と感動したらしい。 今でも、ケンタ大好き♪な旦那です。

 

ウチの母(78歳)はケンタッキーを「おじさんの唐揚げ屋さん」と呼んでいます。オリジナルチキンはニンニク臭が無いところが好きみたいです。

 

もちろん、Twitterのようなインターネットメディアだけでこういった想いが醸成されたわけではなく、KFCの長年に渡る企業努力が生み出したファンの気持ちの一部が、インターネットで可視化されただけに過ぎない。とはいえ、KFCで行なっている年1回のブランド調査や、定期的なグループインタビューでは得られない、リアルタイムかつフィルターのかからない顧客の声に、リレーションシップマーケティングへの手応えをよりいっそう強くしたという。

 

 

ファンも熱い、マーケターも熱い。 そんなブランドのコミュニケーション戦略は、インターネットの向こう側で待つ顧客に向けて、大きく前進し始めている。

 

 


by 許 直人

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