・Twitter cofounder Biz Stone launches Jelly, a visual Q&A platform (First Company)
・Biz Stone launches Jelly, a service for crowdsourcing answers from your social networks (TNW)
・Jelly, Biz Stone’s New Q&A Platform, Uses Images To Find Answers (Tech Crunch)
・Biz Stone’s Jelly has launched – and it’s no Twitter (Venture Beat)
彼らのオフィシャルサイト (jelly.co) にある ブログ によると、新しく本日ローンチしたサービスは「Jelly」というQ&Aプラットフォーム・アプリで、iPhone、Android ともにすでにダウンロード可能となっている。コンセプトは Quora や ChaCha にも近いが、(1)モバイルに特化したシンプルさ (2)画像利用を前提としたQ&A (3)既存ソーシャルネットワークとの連携 の3点が特徴となるだろう。彼らのムービーがわかりやすくそれを伝えている。
Jellyの持つ特徴は、Q&Aプラットフォームに限らず、さまざまな分野で応用可能な、SoLoMo(Social – Local – Mobile)時代におけるアプリ設計の原則とも言えるだろう。
1. モバイルに特化したシンプルさ
メインのインターネット端末は「複雑なことのできるPC」から「身近でシンプルなモバイル」にシフトしている。この傾向は若年層ユーザー、新興国ユーザーになるほど強い。そのため、PC利用を前提とした多機能な設計思想は、モバイル利用を前提とするアプリにおいてマイナスとなってきた。ネット端末のパラダイムシフトが起きている今、既存資産を持たない新規参入者の方が優位な点が多い。Twitter創業者のBiz Stone氏はもとよりその志向が強く、彼らはシンプルな設計思想を武器にしてシェア獲得を目指すだろう。
2. イメージを核としたコミュニケーション
常に写真撮影できるモバイル端末を前提とした、写真を核としたコミュニケーション設計も強みになるだろう。写真の持つ情報量はテキストをはるかに凌駕するため、いままでのQ&Aコミュニティとは異なるシーンで利用されるケースが増えるだろう。また写真には言葉の壁を超える強みもあり、グローバル展開にもプラスになる。現時点では実装されていないが、この分野のキーテクノロジーは画像認識・画像検索エンジンになる可能性が高い。1月6日にPinterestが VisualGraph を買収したのもその流れの上にあるものだ。Jellyにおいてもその点は視野にいれているはずだ。
3. 弱い絆から得られる暗黙知
Jellyで前提としているのは、ソーシャルネットワークでつながる弱い絆のネットワークだ。強い絆で結ばれた身近な人々は価値観や社会的地位において類似性が近い。そのため、新しく多様な情報を入手するには弱い絆で結ばれたネットワークが有効と考えられている。弱い絆から得られる暗黙知をいかにシンプルに引き出せるかが、このアプリの目指すところと言えるだろう。多様化するソーシャルネットワークと連携する設計も、このアプリの特徴のひとつだ。
グーグル時代のインターネットでは「PC」をベースに「テキスト」を入力し「データベース(検索エンジン)」から「情報」を入手していた。人々が常につながっている時代において、Jellyが目指しているものは「モバイル」をベースに「イメージ」を入力し「クラウド(弱い絆でつながる人々)」から「知識」を入手することだ。
彼らのサイトに書かれた「情報は知識ではない。知識とは唯一経験から得られるものである (Information is not knowledge. The only source of knowledge is experience)」というアインシュタインの名言が、Jellyの目指す先を暗示している。
なお、Jelly社の社員は現在8名 (社員一覧) で、Aラウンド (スタートアップ時点の投資) に参加したVCは以下の通りで、調達金額などは明らかにされていない。(TNW記事より)
Spark Capital, SV Angel, musician and activist Bono, former US Vice President Al Gore, and Stone’s other Twitter co-founders Evan Williams and Jack Dorsey.
Twitter共同創業者である3人(Jack Dorsey, Evan Williams, Biz Stone)はすべてTwitter社を卒業し、新たなスタートアップ (モバイル決済サービスSquare, プログパブリッシングプラットフォームMedium、QAプラットフォームJelly) を起ち上げており、ジャック・ドーシーの起ち上げたSquareはすでに時価総額3000億円超と評価されている。三人は退社後も相互出資するなど強いつながりを持っており、Twitter上場を経て、彼らがシリコンバレーにおける台風の目となる可能性は高い。
by 斉藤 徹