第1弾はオンライン英会話サービスのBest Teacherでした。
今回インタビューしたのは、2歳からの子ども向けの知育アプリのサービスKinderpan(キンダーパン)を運営するファンタムスティック株式会社です。Kinderpanは2012年11月にリリースしたばかりのサービスです。
EdTechの企業というと学生や大人向けのサービスが多いですが、キンダーパンは小さな子ども向けの知育ゲームを扱っていて世界でも珍しいサービスです。
そんなサービスが生まれた背景とこれからの展開について、ご自身も2人のお子さんを持つCEOのベルトン シェイン氏にインタビューしてきました。今回のサービスリリースにあたり幼稚園の先生にヒアリングも行ったそうで、幼稚園の先生の要望と親の要望の両方がサービスにも反映されていました。
お話を伺った人
ベルトン シェイン氏(ファンタムスティック CEO)
幼少期をイギリスで過ごした後に日本へ。大学卒業後はCGデザインを勉強し通信サービスの企画・デザイナーとして働く。後にフリーランスに転向し、映像、Web、CG、FLASHとグラフィックデザインを中心に6年活動。
お話を伺った場所
今回のインタビューはSTARTUP Base Camp(スタートアップベースキャンプ)で行いました。
Kinderpanを運営するファンタムスティックはサイバーエージェント・ベンチャーズから出資を受けており、同社が所有するインキュベーションオフィスに入っています。
ファンタムスティックの他にも写真アプリのSnapeeeを運営するマインドパレットやエンジニア・クリエイターのお仕事マッチングサイトのクラウドワークスなど10以上のスタートアップ企業が入居しています。
Kinderpan(キンダーパン)についてのインタビュー
ここからはインタビューをお届けします。
ーーまずはKinderpan(キンダーパン)がどんなサービスなのか教えてください
2歳からの親子間のコミュニケーションが軸となるアプリです。
特徴としては、子供の操作にあわせてテキストを使わないインタラクティブだけで操作するインターフェースです。これは繰り返し子供に使ってもらい設計しました。デザインは子供がクリエイティブな発想になってくれるようなものを目指しています。テクスチャーには絵本や紙、木を想定した、見た目も知育的な要素になるように考えています。
このサービスで解決したいことは2つあります。1つは「親子間のコミュニケーション不足の解消」で、もう1つは「知育ゲームのデザインクオリティ」です。
親子間のコミュニケーションを深めるために、子供がiPad/iPhoneを使ってメッセージボードに絵や文字を書く機能があります。
子供が書いたものはパパ、ママ、おばあちゃんの携帯など遠隔のデバイスに送ることができ、それに対して親が返信することも可能です。忙しい父親は、今までは家に帰ってこないと子供とコミュニケーションできませんでしたが、会社でもどこでもコミュニケーションを取ることができます。
実際に送られた内容はタイムライン形式で見ることができるので、メッセージのやり取りが簡単にわかります。実際に私の子供とおばあちゃんのやりとりを見ていると親とは違うコミュニケーションをとっていることがあるんですよね。子供は人によってコミュニケーションの方法を使い分けるので、違いがみてとれておもしろいですよ。
Kinderpanは世界に向けたプラットフォームを目指しており、その中でも知育ゲームを提供したいと思っています。教育的な知育ゲームを与えて、遊びながら自然と学べるものを提供していきたいです。
最初はパズルゲームなど3つの無料知育ゲームが搭載されていますが、今後は算数や英語など、もう少し知育性の高いゲームを提供する予定です。 デザインを意識したKinderpanならではの知育ゲームを展開をしていきたいですね。
紙相撲を使った知育ゲーム
ーーリリースの前にリサーチなどされたのでしょうか?
親の目線からみた子ども以外に、幼稚園や保育園の先生をまわってヒアリングしました。子どものコミュニケーション能力について子どもと長く接する先生達の視点を持ちたかったからです。
そこで一つわかったことは、親は子どもに低学年から教育を求める傾向があるのですが、多くの先生達にはそれがなかったことです。小学生から一般的な型にはまる教育が始まる前に、その子の持つクリエイティビティーを引き出すのが先生たちには大事だと感じていたようです。
そこでキンダーパンでは、クリエイティブを促進するようなインターフェースや知育ゲームに持っていきたいなと思ったんです。学習とクリエイティビティーの両方が満たせるアプリを目指しました。
他に印象深かったのは、書きやすいキャラクターの危険性です。お絵かきタイムになると、みんなが揃って同じようなキャラクターを描いてしまう。それをみると、がっかりするようです。 そこでKinderpanでは自分のキャラクターに色や模様を自由に塗ることができるようになっており、キャラクターに名前もあえてつけていません。キャラクターを子どもの想像力で完成して欲しいと思っています。
今後は自分で印刷して作れることも検討しているキャラクター
ーーどんなきっかけでをキンダーパンをリリースしたのでしょうか?
もとは私自身が思っていた課題にあります。
私には息子が2人いますが、帰宅が毎日夜遅いので息子から手紙のメッセージがテーブルに置かれていることがよくあったんです。すごく嬉しいのですが、同時に寂しい思いをさせているんだなと感じました。もちろんこれもとてもいいコミュニケーションなんですが、iPadのようなものがある時代ではもっと密接なコミュニケーションが可能なのではと感じたんです。
小さい子供のiPad操作術はすばらしく、タブレットは子供のコミュニケーションも大きく変える道具になると思いました。
ーー話は変わりますが、現在のEdTechの環境をどのように思いますか?
ITの技術によって勉強の仕方が変わって、時間の使い方がそのものが変わるのかなと思ってます。
例えば、今まで50分かかっていた授業が30分くらいで終わるのではないかと。昔では論文を書く時に図書館に行って調べて書いたレポートも今ではネットですぐ資料を集める事ができる。さらにiPadなどが教育に入ってくると、さらにその動きが加速するのではないでしょうか。
そこで私が思うのは、短縮した授業時間の空いた時間をクリエイティブな時間に使ってみてはどうでしょうということです。また幼稚園の教育に、例えばiPadで5分〜10分の算数を取り入れたり、新しい教育の可能性がそこにあるのではないでしょうか。
EdTechはアメリカだと高校とか大学の話が多いですが、本当はもっと下の年齢層にあわせたものも必要なんじゃないかと思ってます。
ーー海外で注目しているEdTechのサービスはありますか?
Codeacademyのようにプログラミングを素人でも学べるサービスだったり、Khan Academyのような映像を使った教育サービスは気になります。
エストニアで小学校からプログラミング学習を必須にするのはすごいなとも思いましたね。プログラマーの書く言語は世界共通なので、子供がプログラマーになればどの国でも仕事がとれるんですよね。私はデザイナーなので、そういうプログラマーに憧れもあります。だから、プログラミングをできるという教育はすごいなと思います。
ーー最後に今後の方針について教えてください
新しいサービスを開拓しているので、ユーザーの求めているニーズに対応できているかが一番大事だと思っています。独自の解析ツールを入れてニーズに答えられるように改善を繰り返し、もっと受け入れやすい、家族を幸せにできる設計を進めていきます。
インタビューは以上です。
デザインにこだわり、ユーザーの声に応えようという姿勢が非常に印象的でした。
シェインさんありがとうございました!
[元記事] 子ども向け教育サービス「Kinderpan(キンダーパン)」とは
by EdTech [エドテック]
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