⌘                    2015年04月30日発行 第0845号
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 ■■■    日本国の研究           
 ■■■    不安との訣別/再生のカルテ
 ■■■                       編集長 猪瀬直樹
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 新連載「民警」スタートにあわせ『週刊SPA!』誌上に掲載されたインタ
ビューのさわりを特別にメルマガ配信します!

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「作家[完全復活]宣言! ノンフィクション『民警』連載スタート」

「政治家として“アマチュア”だった」――。

 13年12月、医療法人・徳洲会からの資金提供問題で、東京都知事を辞任した
猪瀬直樹氏の、政界への決別の言葉だ。

 その後、沈黙を守っていた猪瀬氏は昨年、“プロ”の作家として活動を再開
させた。アイドリングを終えた猪瀬氏が、テーマを新たに掘り起こし、緻密な
取材を重ねた実質的な作家「完全復帰」の第1弾となるのが、『週刊SPA!』
で連載をスタートした「民警」(みんけい)だ。

 民間警備会社を意味する“民警”は奇妙なことに、昭和の重大事件にたびた
び顔を出す。そして、東京五輪のテロが懸念される今後もそんな役回りを演じ
るのか。作家・猪瀬が炙り出す民警の歴史はこの国のどんな未来を照射するの
か。

「日本の警備会社について調べていくと、64年の東京五輪がターニングポイン
トになっていることがわかった」と猪瀬氏は語る。

 62年に創業したセコムは、64年の東京五輪で選手村の警備を一括受注し、脚
光を浴びるようになる。そして、興味深いことにその発注をしたのが、後に綜
合警備保障を創立する村井順だった。セコムと綜合警備保障は際立ったコント
ラストを見せているというが、それは創業者によるところが大きいのだろう。
2人の出自はあまりにもかけ離れている。

「セコムを創業した飯田亮現最高顧問は、戦時中は軍国少年で、敗戦で米軍に
日本が占領されると、米兵が投げたチョコレートを食べたいのに蹴飛ばしたり
する一方、新しもの好きの父親の影響で、目新しいことに対する拒絶感を持た
ずに育った。次第にアメリカに魅かれ、大学では当時ほとんどの人が知らない
アメフトに熱中した。スポンジのようにアメリカを吸収していったわけです。

 一方、綜合警備保障の創業者・村井順は元内務官僚で、内閣調査室の初代室
長。占領下ではGHQと渡り合い、首相の吉田茂に寝技を仕掛けるなど権謀術
数に長けるが、当時の日本の保守系なら持ったであろう闇を抱えていた。

 アメリカのモダライゼーション(近代化)によって照らし出された光と影が
この2人。アメリカのニュービジネスを貪欲に吸収したのが飯田なら、敗戦国
の屈辱や終戦後の日本の深い闇から立ち上がっていったのが村井。実は、この
2人とも敗戦の悔しさを隠そうとしない。ただ、敗戦時、飯田は思春期の入り
口に立つ12歳。一方、村井は官僚として脂が乗り始める36歳。この世代差
が、2人に異なる針路を歩ませたのだろう。村井は“第2の警察”の使命感を
隠さない。冷戦下の当時、国際共産主義が吹き荒れるなか、国内の防共に心血
を注いだ官僚時代だったから」

 現在は、両者ともセキュリティ部門だけでなく、防災、メディカル、情報通
信など多角化を推し進め、平和産業の側面の強い社会システム企業として、日
本人の生活シーンのそこここに顔を出すようになった。だが、歴史は地続きだ。

「セコムが“外資”的なら、“官”の綜合警備保障がキャンプ・シュワブで基
地移設に反対するデモ隊と対峙しているのが象徴的です。対照的な2社が東京
五輪、永山事件といった昭和史の大事件で交差し、今度は来たる東京五輪で再
び交錯しようとしている……」

 猪瀬氏は代表作『ミカドの肖像』で、なぜ旧皇族の土地にプリンスホテルが
建つのか、という問いから始まり、従来とはまったく異なる天皇論を描ききる
離れ業をやってのけた。『民警』のラストでも、読者を驚かせてくれるだろう。
                        (取材・文 斎藤武宏)

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 新連載「民警」は現在発売中の『週刊SPA!』GW合併特大号でスタート
しました! イラストは『あれよ星屑』で話題の漫画家山田参助さん。連載に
込めた思いを語ったロングインタビューも収録。ぜひ書店・コンビニでお買い
求めください。

・雑誌のキンドル版はこちらから http://www.magastore.jp/product/25341
・紙版はこちら http://www.fujisan.co.jp/product/1431/b/1221709/                            

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