猪瀬直樹ブログ

猪瀬直樹メールマガジン「日本国の研究」第716号「大震災の夜に」

2012/09/20 15:00 投稿

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                  2012年09月20日発行 第0716号 特別
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 ■■■    日本国の研究           
 ■■■    不安との訣別/再生のカルテ
 ■■■                       編集長 猪瀬直樹
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                       http://www.inose.gr.jp/mailmag/

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     猪瀬直樹公式ホームページを“新装開店”しました!
           http://www.inose.gr.jp/

 “新装開店”にあわせて、ニコニコチャンネルに「猪瀬直樹TV」を開設。
      http://ch.nicovideo.jp/channel/inosenaoki

                *

 津波直撃で施設が流された障害児童施設気仙沼市マザーズホームと牧沢きぼ
う(旧一景島)保育所が市内の高台に再建され、東日本大震災から1年半とな
る9月11日(火)、開所式がありました。東京消防による園児ら446人の救
助を指揮した猪瀬直樹も、式典に招かれました。

「火の海」に囲まれた中央公民館屋上で孤立し海外の息子にメールを送った園
長、息子が発信したツイッターを副知事の猪瀬に送った東京の零細企業の社長、
そして猪瀬の指示を受けヘリを派遣した東京消防の防災部長。登場人物が一堂
に会した式典で「ひとりひとりが役割を果たす決断をしなければ奇跡のリレー
はできなかった」と猪瀬は語ります。

       ニコニコ東京都チャンネルで動画を公開中!
      http://www.nicovideo.jp/watch/1347504372 

 今週の「猪瀬直樹TV」では、記録映像「東京消防に救助された保育士たちの
証言」特別に公開します。開所式の夜、東日本大震災から1年半を経て、保母
たちがはじめて猪瀬直樹に明かした3.11の記憶。津波と火災に襲われたあの夜、
真っ暗の公民館で何があったのか、ヘリが到着した瞬間の安堵感――当事者た
ちが初めて明かします。元気な気仙沼のお母さんたちに乗せられいっしょに踊
る、猪瀬のふだんは見られない「お宝映像」も。

      http://ch.nicovideo.jp/channel/inosenaoki
      (有料コンテンツです。1視聴200円+税)

 
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                猪瀬直樹氏は、
      子爵夫人の日記に残された謎を解き明かしながら、
           アメリカが日本に仕掛けた
     対日占領政策の大きな構図を浮かび上がらせていく。
    それによって、現代の日本と占領期の日本との間に漂う
        霧のような薄闇を払っていくのである。

                      梯久美子(「解説」より)

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 9月1日、新装開店した猪瀬直樹公式ホームページ(http://www.inose.gr.jp/
には「作家の部屋」と「副知事の部屋」の二つの入口があります。

 両方の側面を持つ猪瀬ならではの構造で、少しホームページを覗いていただ
ければ猪瀬直樹という人間の「面白さ」が伝わるはずです。
 さらに猪瀬直樹TV(ニコニコ動画・猪瀬直樹チャンネル)、語録など、新
しいコンテンツも追加。

 ツイッター、フェイスブック、ブログとも連携し、ホームページを始点に幅
広い分野におよぶ猪瀬の活動を網羅することができます。
 是非、ご覧ください。
 http://www.inose.gr.jp/
                *
 メールマガジンでは先週に続き、ニコニコ動画・猪瀬直樹チャンネル掲載の
インタビュー動画をテキスト化してお届けします。

 本日は、第3回「大震災の夜に」。「猪瀬直樹TV」が救助された人々の証言だ
とすると、テキストは、救助を指揮した猪瀬直樹があの夜、何を考えていたのか、
すべて語ります。ぜひ併せてお楽しみください。

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ニコニコ動画 猪瀬直樹チャンネルより
一問一答「第3回 大震災の夜に」

――前回は、気仙沼の「火の海」が迫った中央公民館に避難した人から発せ
  られたメールがロンドン在住の息子さんに届き、その息子さんが書いた
ツイッターが救助につながり、446人を救うことができた話をうかがいま
した。

■猪瀬□  昨年3月11日、気仙沼中央公民館に避難した内海さんから送られ
     た「火の海 ダメかも がんばる」というメールを、息子さんで
あるロンドン在住の宝石デザイナー、直仁さんが受け、ツイッターで「拡散
ねがいます」と発信しました。状況、救助方法が論理的に書かれていたので、
救助につながりました。直仁さんは高等専門学校から、ロンドンの靴職人の
専門学校に行き、アルバイトをきっかけに宝石デザイナーになります。ロン
ドンという都市とイギリスという国のビジネスの仕組みを学ぶうちに、東京
に支店を出すまでにもなったんです。

  そういう中で、論理的に思考する力をつけたんでしょうね。それがあの1
40字のツイッターで見事に証明されています。

――そのツイッターが猪瀬副知事まで届くには、いろいろな人のつながりが
  あったわけですね。

■猪瀬□ あの夜、僕は都庁にいました。あのツイッターは拡散されたんで
     すから、無数の人が見たはずです。しかし、僕のところに伝えた
のはたったのひとりでした。大手家具メーカー「家具のオカムラ」の商品を
納品・組立する、零細企業の社長の鈴木修一さんでした。

 東京にはエリートサラリーマンがたくさんいますが、内海青年のツイッタ
ーを見て、会ったことのない僕に当てのない期待をもって送ってきたのは、
そういう人でした。猪瀬副知事なら何とかできるんじゃないかと思ったんで
しょう。

  それで、内海さん―ロンドンの内海さんの息子―東京の鈴木社長―僕 と
情報リレーがつながりました。

――自ら救出の指揮をとられました。

■猪瀬□ 僕はすぐ東京消防庁の防災部長を呼んで、ツイッターの文章を見
     せたんです。

「これはすごいですね。その通りですねぇ」といって、「すぐヘリを飛ばし
ましょう。ヘリを飛ばすには手続きがいるんですが、それは省いていいから」
ということになりました。

――防災部長は即、判断したんですね。

■猪瀬□ そう、防災部長のしっかりした判断です。

 ヘリコプターは、有視界飛行しかできないので、明るくなるのを待って飛
ばしました。

  行ってみると、446人の中には、生まれて10日目の赤ちゃんがいたり、
あと10日で生む妊婦さんがいたり、96才のおばあさんがいたりでした。建物
は水につかっていて、火の粉があがっていて、という状況だったんですが、
ひとつでも情報が欠けていたら救出は成立しなかった。ひとりひとりが決断
して、発見してそれをこなした。それで成立したんです。

  震災時、もしかしたら情報リレーが成立しなかったケースも無数にあった
かもしれません。また、デマのツイッター情報もたくさんあったので、そう
いう情報で動いてしまったひとがいたかもしれません。

  個人の役割、自分しかいないという役割をそれぞれみんながはたせたら、
僕は、日本は希望が持てると思っています。

――原発事故でもそれはいえますね。

■猪瀬□ 国会事故調の新しい報告に、「原発事故の原因は、入社や入省年
     次で上り詰める『単線路線のエリート』による人災」とありまし
た。それは、「自分が余計なことを言ったら出世できなくなるから、余計な
ことはいわない」という考えで連なっていく連鎖なんです。それが、あの事
故につながっていったんだと思います。

――直前にも地震学者、地層学者が警告していましたし、東電にも事故を防
  ぐチャンスはなんどもあったと思います。

■猪瀬□ 福島原発は1971年に1号機が建設されましたが、1981年には建物
     の耐震基準が改定になりました。さらに、2006年には地震学会が
福島原発は危ないよと、報告しました。3、40年で地震学は発展しましたか
ら。チャンスはいろいろあったんです。

  東電の中に誰かひとりでも振り返って考えて、「ちょっと待てよ。新しい
耐震レベルに置き換える工事をしないと。それには投資が若干必要だが……」
と、上司に相談し、その上司が実行していたら事故は起きなかったのです。
そういうプロセスがあればあの事故は起こらなかった。

  ひとりの勇気で世界は変えられます。逆に誰にも勇気がなければ、全滅す
るということだと思います。

  前回からお話ししている奇跡の救出、奇跡の情報リレーとは、ひとりひと
りが役割をはたしたということです。逆にいえば、役割をはたさなければで
きませんでした。

――救出された若い母親の証言で、「あまりにもつらいので、このままでは
  みんな、死んでしまう。この子を先に楽にさせてやりたいと思った」と
いうのがありました。現場ではギリギリまで追い詰められて、悲惨な状況だ
ったのでしょう。奇跡の救出リレーがなければ、もっと悲惨なことが展開さ
れたかもしれません。

■猪瀬□ とにかく、ひとりひとりが決断することが大事です。あなたは必
     要とされているんですよといいたい。自分は世の中にあまり必要
とされていないんじゃないかと思っているかもしれないが、そうではなくて、
ちゃんと役割をはたすことができますよということがいいたいです。


                               (了)


                *


 「日本国の研究」事務局 info@inose.gr.jp


猪瀬直樹の新着情報━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

■掲載情報

・9月26日発行『一個人』11月号に、連載エッセイ「解決する力」の第14回が
 掲載されます。テーマは「2度目の東京オリンピックに向けてーーロンドン
 を走りながら成熟した都市・東京を考える」。

・9月10日発行『文藝春秋』10月号、「反日包囲網を打ち破る 日米韓31人の
 提言 韓国、中国『領土紛争』の深層」に、論考「都が先頭に立つ」が掲載
 されました。
 
・9月5日発行『潮』10月号、連載対談「日本を変える次世代の騎手たち」
 第5回に速水浩平氏との対談が掲載されました。

・日経BPネットの好評連載「猪瀬直樹の『眼からウロコ』」最新号。
 「札束で尖閣を購入してどうするのか 船だまり・灯台・電波塔を整備しな
 ければ寄付金は渡せない」はこちら。
 http://www.nikkeibp.co.jp/article/column/20120910/322531/

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 ソーシャルネットワークを使った情報収集・発信・即断即決→事後承認、
 見えない恐怖を可視化する、先を見通してリスクの芽を摘む、昨日を基準
 に今日を生きない……。大震災後、東京都を陣頭指揮するリーダーが、
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 1983年に世界文化社から刊行され、文春文庫になり、『猪瀬直樹著作集』に
入り、ロングセラーとして版を重ね昨年6月に中公文庫に収録された作品です。

 巻末には勝間和代さんとの特別対談「日米開戦に見る日本人の『決める力』」
が収録されました。

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  天皇という日本独自のシステムを〈元号〉を突破口に徹底考証。
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「天皇は実在するが、また同時に人びとの意識の底にとり憑いた幻想のひとつ
でもある。曲がりくねった鏡張りの回廊を歩くときに歪んだ自分の姿が無数に
映るばかりで天皇の影は見当たらない」(「あとがき」より)

 巻末には作家・批評家の東浩紀氏との特別対談「今、ここにある皇室の危機」
が収録されました。

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      □■『言葉の力――「作家の視点」で国をつくる 』■□
            (中公新書 税込777円)

「東京都副知事で作家の言葉論。ツイッターで文章力を鍛えるには口語体では
なく文章語で書くことだと説く。読書は『10ページ読書』を勧める。それだけ
で頭の中に検索のキーワードができ上がると言う。また、小泉純一郎は<俳句
のように凝縮した1行の力強さがある>が、菅直人は<ページに言葉が埋まっ
ているだけ>といった分析等も興味深い」(読売新聞 8月14日付)

                *

     作家として、東京都副知事として進める「言語力再生」。
 サッカー界にも導入された「言語技術」やツイッターやフェイスブックなど
のソーシャル・ネットワークのほか、三島や太宰の文体にいたるまで、グロー
バル時代に不可欠なコミュニケーション力の目的・手段を独自の視点で解説。
 
  第一部 「言語技術とは何か」
  第二部 「霞が関文学、永田町文学を解体せよ」
  第三部 「未来型読書論」

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                □■『突破する力』■□
          (青春出版社 税込800円)

              7刷出来!  

  道路公団民営化をはじめ、作家として、東京都の副知事として、
      さまざまな世間の“壁”を突き破ってきた著者が、
     自らの体験を踏まえて綴る、人生を面白くする
          本気の仕事&生き方論。
  
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