2013年06月13日発行 第0750号 特別
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■■■ 日本国の研究
■■■ 不安との訣別/再生のカルテ
■■■ 編集長 猪瀬直樹
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「五輪招致プレゼンまずは順調」
□ 拍手喝采
ロシアのサンクトペテルブルクであった国際スポーツアコードに行ってきた。
国際オリンピック委員会(IOC)や国際競技連盟の代表者らが集まる年に一
度の会議なのだが、今年は特別。2020年夏季五輪の開催地を決める最初の招致
プレゼンテーションがあるからだ。
9月の候補地決定に向けてよいスタートを切りたいから、不退転の決意と情
熱で乗り切ろうと、僕は少し肩に力を入れて出掛けた。
結論から言えば、拍手喝采のプレゼンテーションになった。新聞は現場にい
ながらこういう場面をなかなか生き生きと描かないから、触れておきたい。
□ 準備万端
トップバッターのイスタンブールが終わり、東京の順番。実際に開催地を決
めるIOC委員たちを前にすると、さすがに張り詰めた空気がみなぎる。東京
招致委員会の竹田恒和理事長があいさつして、僕の出番が来た。持ち時間は3
分。仕事の合間に何度も練習してきた英語のスピーチだ。治安のよさ、日本人
の真面目さ、それから開催資金がすでに準備できていることを前面に出そうと
お金の話をした。
「財布を落としても中に入っているキャッシュごと戻ってきます」。会場から
どっと笑いが起きた。東京では年間、30億円の現金が持ち主の元に返る。開催
準備資金はすでに4000億円、「キャッシュで銀行にある」と言うと今度は「オ
ー」という驚きの声と笑いが交錯した。大イベントの費用は普通、開催が決ま
ってから予算化されるが、東京は準備万端だと強調したかった。
お金にまつわる話は時に嫌みに聞こえるが、みな好意的に受け取ってくれた。
会場全体の緊張が解けていくのが僕自身分かった。プレゼン後の会見では外国
人記者から「あのスピーチはスピルバーグを雇ったのか?」と聞かれもしたし、
まずは順調な滑り出しになったと安堵している。
□ よい経験
今回の旅はいきなり試練に直面した。羽田から乗り継ぎ地のフランクフルト
に向かう午前1時発の全日空機が故障。「あと1時間待って」が2時間になり、
とうとう欠航。翌朝の便に乗り換えた。サンクトペテルブルクでは渋滞に巻き
込まれて市長との会談に遅れそうになり、車を捨てて地下鉄で移動した。
けれど、そのおかげでよい経験もできた。飛行機の到着時刻が変わったため、
夜中の11時、ようやく日が沈むバルト海をみながら、かつてレニングラードと
呼ばれた歴史の街をジョギングできた。
サンクトの地下鉄は深度80メートルにあることも知ることができた。東京で
一番深い大江戸線でも40メートル。沼地だから深く掘らないと水が入ってきて
しまうようだ。そのために駅間も長い。地上のバスは各駅停車、地下鉄は急行
のような役割分担ができていた。興味あふれる旅でもあった。
(中日スポーツ2013年6月11日付の連載コラム「月刊猪瀬直樹」より)
□ 中日スポーツ「月刊猪瀬直樹」過去の記事はこちら http://bit.ly/12HgzFz
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猪瀬直樹の新着情報━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
■出演情報
・6月17日(月)20:00~20:55 CSテレ朝チャンネル2『ニュースの深
層』に出演します。テーマは「就任半年 猪瀬都政を検証する」。キャスタ
ーは津田大介さんです。
■掲載情報
・6月5日発行『潮』7月号、連載対談「日本を変える次世代の騎手たち」
第13回にエル・システマジャパン代表理事の菊川穣氏との対談「音楽の力で
被災地の子どもに希望を」が掲載されました。
・6月10日発行『文藝春秋』7月号、特集「父への手紙、母への手紙」に、
「猪瀬直樹から母、久子へ 病床に届けた『約束』」が掲載されました。
・You Tubeにて、6月1日に放送された MXテレビ9CH『東京からはじめよ
う』(ゲスト:辻慎吾氏)が提供されています。
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