結城浩の「コミュニケーションの心がけ」2016年3月22日 Vol.208
はじめに
おはようございます。
いつも結城メルマガをご愛読ありがとうございます。
天気の変化が激しいですが、 少しずつ春が近づいている感じがしますね。 あたたかくなっていくというのは気持ちがいいものです。
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新刊の話。
『数学ガールの秘密ノート/場合の数』は四月刊行。 先週末に再校ゲラが届いたのでせっせと読んでいます。 現在は一回通し読みが終わり、二回目に入るところ。 今週末に再校読み合わせがあり、 その時点で、原稿に関しては結城の手をほぼ離れます。
毎回思うのですが、初校のときにあった文章のざらざらは、 再校のときにはもうだいぶ取れています。 楽しみながら読み、ときたま出てくる小さなミスに対処する感じですね。 大事なキーワードが二行に渡らないようにする細かい修正も行います。
書影が編集部から届いたら、 サイン本無料プレゼント企画を行い、 書店さん向けのメッセージカードやサイン本作りを行い、 ランディングページを整える予定です。 来月の出版に向けてがんばりますよ!
◆『数学ガールの秘密ノート/場合の数』(結城浩)
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4797387114/hyam-22/
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Web連載の話。
結城は毎週金曜日、cakesで「数学ガールの秘密ノート」 というやさしい数学物語を書いています。 ふだんは、金曜日の朝7:00から24時間、最新号が無料で読めます。
でも、いまは端境期。先日でちょうど150回を迎え、 現在はお休み中。再開するのは4月8日になります。
毎週、数学トークを書き続けるのは楽しい活動なのですが、 なかなか大変な部分もあります。 なので、10週ごとにお休みをいただいているのです。
Web連載は、10回分で一冊の本になるようにスケジュールを組んでいます。 先日終了した第141回〜第150回は「波の広がり」というシーズンでした。 物理的な波の定義から始まり、三角関数の和積公式や、「うなり」を体感したり、 フーリエ係数を計算したり、楽しいシーズンでした。 期間中に実施されたセンター試験でも、たまたま波の問題が出ましたね。
第150回を迎えたので、ストックされた題材は15冊分あります。 そのうち実際に書籍になったのは来月で7冊目。 つまり、まだ8冊分のストックが残っていることになります。 Web連載の方がずっと早いペースで進んでいるので、 さてさてどうしましょうかね。
結城はここ十年近く、数学ガールに出てくるキャラクタの、 楽しい数学トークに耳をすます生活を続けています。 とても豊かで幸せな人生だと感じます。数学は楽しいです。 自分のペースで学び、考える。読んで考え、書いて考える。 もしかしたら、人生最大の楽しみかもしれません。
幸いにして、とても多くの方が、数学ガールを応援してくださっています。 感謝です。結城はその期待に応えるべく、 自分なりにがんばって(でもがんばりすぎないように)いきたいと思います。 あなたの応援が支えです。
現在はWeb連載の新シーズンをどんなテーマにしようか検討中。 どうぞご期待くださいね!
◆Web連載「数学ガールの秘密ノート」
https://bit.ly/girlnote
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NHKの連ドラ「あさが来た」の話。
毎朝「あさが来た」をとても楽しみにしています。 ぜんぜん奇をてらうことがない王道のストーリーで、 たっぷり楽しめて満足できる好例だと思います。 この物語に「悪人」はほとんど出てこない。 みんな「まっとうなこと」を言う。 でも、なぜか目が離せない。楽しめる。 これは、恐らく脚本家の腕ですね。
物語の王道を進みつつも、シリアスあり、コミカルあり、 驚くほどのサスペンスもありと、毎朝15分と思えない充実ぶりである。 家内は「まるで毎日大河ドラマを見ているような」と評していた。
物語の絡みもうまい。 年配の女性の切ない恋物語である「うめさん」の話から、 一つの手鞠がころころ転がって、若者の初恋に繋がっていく。 物語に出てくるエピソードが有機的に絡んでいるのがすごい。
脇役の出し方もうまい。 キャラクタ一人一人がそれぞれ生き生きしていて、 しかもそれぞれにスポットライトが当たる場面がある。 ちゃんとキャラクタがそれぞれの人生を送っている、 生身の人間のように見える。 ご都合主義で動かされている感じがまったくない。
もうすぐ終わりになるけれど、 物語の作り方を学べるようなそんな連ドラですね。
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ほめる・けなすの話。
一般論ですが、何かを「ほめる」とき、 別の何かを「けなす」人がときどきいます。
「Aはいいよね! それに比べてBときたら…」
みたいに。本人はBをけなす意図はなくて、 単に言い方のクセなのかもしれませんが、 そういう発言ばかりだと、印象はあまり良くないと思います。
恐いのは、 言っている本人にその自覚がないということ。 人から言われると不愉快だけれど、 自分が人に不愉快な思いをさせていることに気付かない、 という状況はよくありそうです。
そしてもう一つ恐いのは、大人になると、 こういう発言に忠告してくれる人がいなくなるということ。 ということはフィードバックが掛からない。
結城はふだんネットでよく発言しているから、 フィードバックが掛からないのはとても恐い。 何か忠告してくれる人はほんとうに助かる。
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文章指導の話。
ときどき、新入社員への課題として結城の『数学文章作法』 を読ませているという話を聞きます。 基本的で大事なポイントが押さえられている文庫本なので、 課題として読ませるのにとてもよいとのことです。 ご利用ありがとうございます。
会社であれ学校であれ、 「正確で読みやすい説明文」を書く機会は多いものです。 でも、指導者には「書く内容」のほうを踏み込んで教えていただきたい。 基本中の基本である「読者のことを考える」や「接続詞に注意しよう」 というところから始めるのでは、指導者の時間がちょっともったいないですね。 なので、結城の『数学文章作法』をそういうところで活用していただくのは、 たいへんうれしいことです。
『数学文章作法 推敲編』の第1章は、 DRMなしのPDFで全文読めるようになっています。 登録不要で、もちろん無料です。 こちらからPDFをダウンロードできますので、ぜひご覧ください。
◆『数学文章作法 推敲編』第1章(PDF)
http://www.chikumashobo.co.jp/special/yukihiroshi/data/read.pdf
なお、結城の『数学文章作法 推敲編』 Kindle版は、3月末までセールになっています。
◆『数学文章作法 推敲編』
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/B00UWBR406/hyuki-22/
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では、そんなところで、今週の結城メルマガを始めましょう。
今回は「フロー・ライティング」のコーナーで、
「孤独の中で書く」
という、いつもとちょっと雰囲気の違う文章をお送りします。
どうぞ、ごゆっくりお読みくださいね。
目次
- はじめに
- フロー・ライティング - 孤独の中で書く
- 文章を書くということ - 文章を書く心がけ
- 「言った!言ってない!」が出るのは失敗プロジェクト - 仕事の心がけ
- 現状に不満を抱いているあなたへ
- 夜中にふと目が覚めるときがある
- おわりに
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