結城浩の「コミュニケーションの心がけ」2015年10月6日 Vol.184
はじめに
おはようございます。 いつも結城メルマガをご愛読ありがとうございます。
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ベクトル本の話。
『数学ガールの秘密ノート/ベクトルの真実』は、現在初校を校正中。 初校ゲラ(著者校正紙)が編集部からどさっと送られてきて、 それをじっくり読んでいるところです。
レビューアからの指摘事項はすでに手元のファイルに反映しているので、 それを初校ゲラに転記する作業が必要です。 でも、そういう機械的な作業に終始するわけではありません。 もう一度「読者の帽子」をかぶり直して、 まっさらな気持ちでゲラを読む。それが大事です。
脱稿した時点から何日も経っていますので、 書いたときの自分のことを忘れて読み直すチャンス。 つまり「著者の帽子」が自然と脱げている状態なので、 読者の気持ちがわかりやすい状態になっているのです。
初校読み合わせは来週。そしてしばらくして再校ゲラがやってくる。 同じように校正を続け、再校読み合わせ……そこまでいけば、 結城の手を離れ、出版を待つばかりです。
おっと、また例によってサイン本を作ったりするお仕事はありますが、 そこはもう純粋な「お楽しみ」です。感謝でいっぱい!
『数学ガールの秘密ノート/ベクトルの真実』は来月11月刊行です。 どうぞお楽しみに!
◆『数学ガールの秘密ノート/ベクトルの真実』
https://bit.ly/girlvector
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連ツイの話。
結城はよくTwitterで「連ツイ」をします。 これは、長い文章をツイートするときに
「自分あてにリプライ」
することを繰り返すというツイート方法です。 このようにすると、一連のツイートがちょうど鎖のようにつながって、 一つの文章のように読むことができます。 結城はこれを「連続ツイート」や「連鎖ツイート」の意味で、 「連ツイ」と呼んでいます。
Twitterでツイートを見ると、 いろんな人の会話がつながっている状態で読むことができますが、 あれを一人でやっているようなイメージです。
「自分あてにリプライ」することを繰り返すと、 たとえばその「連ツイ」の中のツイートが一つでも読者の手に届けば、 そこから他のツイートをすぐにたどることができます。 つまり、一連のツイートがまとめて読める。
もし、リプライを使わなければ、 個々のツイートはばらばらになり、 もとの一連のツイートを探し出すのはとても手間がかかります。 よくツイートに(1), (2), (3), ... と連番を振っている人がいますが、 それよりずっといい方法です。
なので、長い文章をたくさんのツイートにわけてつぶやくのが好きな人は、 この「自分あてにリプライ」する「連ツイ」を試してみてくださいね。
◆Twitterで長めの文章をまとめて「連鎖ツイート」する方法
(自分あてにリプライするだけ)
http://snap.textfile.org/20140110000000/
なお、結城は自分の「連ツイ」を自動的に収集するプログラムを作り、 ブログ風に公開しています。
◆結城浩の連ツイ
http://rentwi.textfile.org
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メール送信の話。
今年の8月から、結城浩の活動をときたまメールでお知らせする、 「結城浩ニュースレター」という無料企画をやっています。
◆結城浩ニュースレター
http://www.hyuki.com/newsletter/
結城メルマガのように読み物が書いてあるわけではなく、 結城の最近の活動を簡潔に、リンクを添えてメールするイメージです。 こういうメールはたくさんくるとうるさいので、 「多くて月に二回」という頻度にしています。
先日「早くも400人が登録してくださいました!」 と結城メルマガで喜びましたが、計算間違いがありまして、 実際には約360人でした。もうしわけありません。 もちろん、それでもたいへん多くの方に登録いただいていることは変わりません。 感謝しております。
この企画を始めた理由はいろいろあるのですが、 最近の結城の活動が複数サイトにまたがっているから、 というのが理由の一つです。 むかしは hyuki.com だけに自分のコンテンツがあり、 そこでの更新がほぼすべてでした。 最近は、cakes.mu, note.mu, など、あちこちで書いており、 それをまとめて把握することが難しくなってきました。
一つのサイトでの結城のことは知っているが、 他のサイトでの活動は知らない方、 あるいは「結城の活動に少し興味あるけど、 結城のツイートを追っかけるというのもちょっとな…」という方、 そんな方に購読していただけたらいいな、 という思いがあります。
裏の理由としては「なんとなく、やったほうがいいんじゃないか」 と感じたから、というのもあるのですけれどね。 これは前回の『フロー・ライティング』に書いた、 「世界を変える第一歩」のような話です。「やってみる」ということ。
結城浩ニュースレターは、メールアドレスを登録していただいた方に メールを送るというものです。 いわば、メールマガジンと仕組みは同じです。
でも結城浩ニュースレターの配信では、 既存のメルマガ配信サイトは使わないようにしようと思いました。 その代わりに自分でプログラムを組んで、 一通一通メールを配信するようにしてみようと思い、 それを実行しています。
なぜ既存のメルマガ配信サイトを使わなかったのか。 その理由は…と、ここでカッコイイ「なるほど!」という理由が書ければいいのですが、 実は、これもまた「なんとなく」なのです。
まぐまぐ!やブロマガでのメール配信はしたことがある。 でも、自分の手でメールを送れば(というのは比喩で、 正確には「自分が作ったプログラムでメールを送れば」ですね)、 「何か」がわかるんじゃないだろうかと思ったからです。
いえ、まだ、その「何か」について、 まとめてお話しできるようなことはありません。 でも、いつかわかったことがあったら、 文章にしてみようと思います。
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Apple Pencilの話。
◆「Apple Pencil」は未来の鉛筆--書き心地を松村太郎が体験
http://japan.cnet.com/sp/iphone2015/35070641/
上の記事を読んで「うわ、試してみたい!」と思いました。
初代のiPadが出たとき、購入して夢中になって手描きを試しました。 これで紙のノートが不要になり、 思いついたことをささっと書け、しかもファイルとして扱える! ……と興奮しました。
でも、現在はiPhone 6とMacBook Airを使うだけで、 タブレットは使っていません。なぜでしょう。
私にとってはタブレットの位置づけが中途半端なのかも。 手元にいつもあって、さっと何かを書くときはiPhone 6を使う。 大量の文章をがりがりと書くときにはMacBook Airを使う。 そうするとそのあいだに挟まるようになるタブレットを、 毎日持ち歩くというメリットがどうも薄れるようです。
でも、以下のApple Pencilの紹介ビデオを見ると、 何だかきゅううっと引き込まれるような気がします。 またタブレット熱が再燃する……かも?
◆Apple Pencilを紹介します
https://youtu.be/jtI4Fe0zoik
タブレットを何に使うかといえば、 おそらくはメモ書きできる読書端末として使うと思います。 Apple Pencilで手描きのメモを書きながら読めるなら、 かなり有効な端末になるんじゃないでしょうか。
iPhoneを使っていて思うのは、 「目と画面の距離」の重要性です。 iPhoneは目に近い。年齢のために目が悪いせいかもしれないけれど、 目の近くに持ってきて読むテキストは心の近くまで届く。
鉛筆を手にして、ときに大きく、ときに小さく、 気分のままに文字を書ける(描ける?)という体験は、 どんな感じがするだろう。
スワイプで入力するテキストもなかなかいいけれど、 それほどカチッと書けない(書きたくない)気分のときもある。 そんなとき、Apple Pencilですうっと書けたら楽しいのでは!?
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Google Apps for Workの話。
一ヶ月「Google Apps for Work」をFree Trialしていた。 Google Apps for Workは、ひとことでいえば「仕事で使うGoogle」である。 メールや予定表やファイルや文書共有などを、 Googleのインフラを使って行いましょうというもの。
◆Google Apps for Work
https://www.google.com/work/apps/business/
一ヶ月使ってみて(といっても自分一人で使っていたのですが)、 結局私の仕事にはいらないと判断した。
そもそも私は一人で本を書いているだけなので、 誰かと密に連携を取ったり情報をやりとりすることはそれほど多くない。 いちばん多いやりとりはレビューアさんとのメールだけれど、 それは現在の環境でもほぼ十分。
でも、このGoogle Apps for Workは、 普通の会社には普通に便利そうである。 Gmailなど、慣れてるUIでそのままお仕事ができるので、 情報システムで教えることが少なくてすむし、 トラブルや不満も少ないのではないだろうか。
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それでは今週の結城メルマガを始めます。
今回は「仕事の心がけ」のコーナーで、
「時間を味方につける」
というお話をします。 ここしばらく結城が自分の仕事について悩んでいたことをお話しし、 その対策についてスケッチ風にお届けします。 この10月、11月、12月を実り多きものにするためのスタートです。
では、どうぞごゆっくりお楽しみください!
目次
- はじめに
- 時間を味方につける - 仕事の心がけ
- 想像する力と罵倒の言葉
- 「わからない」の管理と心の中の教師 - 教えるときの心がけ
- おわりに
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