Vol.150 結城浩/再発見の発想法/ゴールとプロセス/実家で引きこもっていたときに母が言ったこと/

結城浩の「コミュニケーションの心がけ」2015年2月10日 Vol.150

はじめに

おはようございます。 いつも結城メルマガをご愛読ありがとうございます。

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新刊の話。

『数学ガールの秘密ノート/微分を追いかけて』は、第5章までまとまりました。 現在はプロローグ、エピローグ、あとがきをまとめようとしています。 レビューアさんからのレビューメールもぞくぞく来ているので、 その反映の準備も進めます。

『数学ガールの秘密ノート/微分を追いかけて』がアマゾンなどで予約開始しています。 (まだ、カバー絵はダミーで、価格も予価です)

さっそくアマゾン「微積分・解析」のランキングで第一位になっていました。 みなさん応援ありがとうございます!

 ◆『数学ガールの秘密ノート/微分を追いかけて』(アマゾン)
 http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4797382317/hyuki-22/

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pplogというサイトの話。

最近 pplog というサイトがちょっと気に入っている。 一言でいうなら「最後に書いたエントリだけが表示されるブログサイト」だろうか。

pplogではブログの書く記事のことを「ポエム」と呼んでいる。 といっても詩を書かなければならないわけではない。 のぞいていると、Twitterのツイートのようなつぶやきや、 ブログ記事のような真面目な話や、日常の身辺雑記などが混在している。

興味深いのは「最後に書いたエントリだけが表示される」という制約である。

つまり、書き手がたくさんのエントリ(ポエム)を書き込んだとしても、 その書き手のページに表示されるのは最後の一つだけなのだ。 表示されるのが一つだけだから、ブログサイトでよくあるような、 permalink(記事ごと個別のURL)というものは存在しない。

ユーザのトップページのURLが、最新ポエムのURLであり、 そのユーザが書いたもののうち読める全ポエムのURLでもある。

この強烈な制約によって不思議なレア感が生まれる。 体験というか、なんというか。何しろ、いま読んでいるこの書き手のポエムは、 次に来たときには、読めなくなっているかもしれない。 いましか読めない!

pplogには「コメントが付けられない」という別の制約もある。 これもまた興味深い。ブクマを付けることはできるけれど、 ポエムごとのpermalinkがないから「このポエム」に言及することはできない。

これは気楽なSNSとも見ることもできるし、 Twitterの「ひとりごと」版のようにも見える。

 ◆結城浩のポエム - pplog
 https://www.pplog.net/u/hyuki

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コミックの話。

『ダンジョン飯』というコミックを読んだ。 ダンジョンの中で魔物を「食材」にして料理を作るというユニークなコミックである。 もちろん架空の料理だから味は想像つかないのだけれど、なぜかおもしろい。 こういう発想は、いったいどこから来るんだろうか。

魔物をどう調理するかという「理性の部分」と、 食べねば死ぬという「本能の部分」がせめぎ合うところがおもしろいのだろうか。 絵も魅力的である。

 ◆『ダンジョン飯1』(九井 諒子)
 http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/B00S0E4JW8/hyam-22/

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さて、それでは今週の結城メルマガを始めましょう。

今回は「再発見の発想法」のコーナーで「ブルートフォース」をお送りします。 技術的な用語の背後に隠れている「発想」をつかんでください。

「仕事の心がけ」のコーナーでは「ゴールとプロセス」に関したお話を。

その他にもいくつかの読み物をお送りします。

どうぞ、お読みください!

目次

  • はじめに
  • プログラミング言語を学ぶこと
  • 再発見の発想法 - 再発見の発想法 - Brute Force(ブルートフォース)
  • 線型性と分割統治
  • ゴールとプロセス - 仕事の心がけ
  • 結城が実家で引きこもっていたときに母が言ったこと
  • おわりに