結城浩の「コミュニケーションの心がけ」2015年2月3日 Vol.149
はじめに
おはようございます。 いつも結城メルマガをご愛読ありがとうございます。
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現在、結城は「数学ガールの秘密ノート」シリーズの第五弾、
『数学ガールの秘密ノート/微分を追いかけて』
の第5章に取り組んでいます。 本来は1月末に全体を脱稿するはずだったのですが、 どうにも間に合わず、第1章から第4章までを編集部に送った状態。 がんばって第5章やエピローグなどを終わらせなくては。
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ありがたいことに、継続的に『数学文章作法 推敲編』は人気のようです。 何名かの読者さんから、
「推敲編の電子書籍はまだですか?」
という問い合わせをもらっています。 正式なアナウンスはありませんが、結城が得ている情報からの推測ですと、 今年の4月までには『数学文章作法 推敲編』 の電子書籍版も刊行になるのではないかと思います。 正式な情報ではないので、予定が変わる可能性もありますが、 引き続き応援いただければ感謝です。
◆『数学文章作法 推敲編』
http://mw2.textfile.org/
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仕事の話。
結城は自分のタスク管理ツールを「結城タスク(YukiTask)」として公開しています。 といっても非常に単純なツールの集まりで、 しかもコマンドラインで主な作業をする人にしか有用ではありませんけれど……
◆結城タスク
http://yukitask.textfile.org/
以前は手動で「色つき星取表」として管理していたものが、 現在は自動的にグラフになって表示されます。
これは確かに便利です。 自分は、意識しているよりも多くのタスクをこなしているなあ、 と感じることもありますし、逆に、 うわ、このプロジェクトにぜんぜん手が着いていない! と気付いて焦ることもあります。
自動化されて便利にはなったのですが、その反面、 意識の度合いが変化していると感じることもあります。 手動で自分のタスクの記録をつけたときの方が、 「仕事全体に目配りできていた」かもしれないという意味です。
ふと思ったのですが、もしかするとタスク管理やプロジェクト管理というのは、 「慣れてはいけない」ものだったりしませんかね。 いつも何らかの新鮮味というか、驚きが必要なのではないかということです。 慣れてしまったら、意識がそれてしまう。見逃してしまう。
適切なゆさぶりを自分に掛けて、 「新鮮な目」を持って自分の仕事を見直すというのは、 プロジェクト管理の上で大事な要素かもしれないな、と思いました。
あなたは、自分の仕事に「慣れていたために失敗した」という経験はありますか。 そして「慣れないようにする工夫」をしていますか。
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言葉の話。
「偶然短歌bot」というTwitterのbot(自動的にツイートするプログラム)を知りました。 ウィキペディアの記事の中でたまたま「五・七・五・七・七」 になっているフレーズを切り出してツイートするbotだそうです。 おもしろいことを考える方がいますねえ……
◆偶然短歌bot
https://twitter.com/g57577
以下「偶然短歌bot」のツイートから「偶然短歌」をいくつかご紹介します。
アルメニア、アゼルバイジャン、ウクライナ、中央アジア、およびシベリア
(ウィキペディア日本語版「モロカン派」より)
底にある振動板を高速で振動させて汚れを落とす
(ウィキペディア日本語版「洗濯機」より)
その直後、直子は部屋を引き払い、僕の前から姿を消した
(ウィキペディア日本語版「ノルウェイの森」より)
空洞になっているため、大きさを支えきれずに壊れてしまう
(ウィキペディア日本語版「マリモ」より)
フクロウが鳴くと明日は晴れるので洗濯物を干せという意味
(ウィキペディア日本語版「フクロウ」より)
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教師の話。
結城はよく、カフェで書き物をしています。
先日のこと、カフェで仕事をしているときに、 隣の席でマンツーマンの英語レッスンが始まりました。 これはよくあることです。
どういう仕組みになっているかは知りませんが、 日本人と外国人が二人ペアでやってきて、 世間話から始まり、日本人が自己紹介の練習や、 最近興味を持っていることなどの話をするのです。
講師役の外人さんは、日本人の表現をときどきチェックしたり、 たまにテキストを取り出して説明したり。
ところで、先日の講師役の先生、英語が非常に聞きやすくて説明もうまい。 無関係な仕事をしている結城も、講師の説明につい聞き入ってしまうほどでした。 教え方がうまい教師というのは魅力的なものだなあ……と感服しました。
何が「うまい」のかを観察してみると、「変化」がうまいようですね。
・声の大きさの変化
・話のスピードの変化
・話題の変化
それらを駆使して、生徒の注意をそらさない。 現在のトピックに意識を集中させる。 そして「次は何?」という気持ちを絶やさない。
なるほどなあ、と思いました。
……などと感心していては、結城自身の仕事が進まないので、 その日はそうそうに引き上げることにしたのですけれどね。
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数学の話。
大学入試センター試験の数学に《平均変化率》の話題が出ました。 これは、ちょうどいま書いている『数学ガールの秘密ノート/微分を追いかけて』 に登場する話題でもあるので、興味深く読みました。
以下問題文。
◆2015年センター試験 数2B 第2問
http://www.toshin.com/center/sugaku-2b_mondai_2.html
読んだついでに手書きで解答を作りました。以下の通り。
TwitterでつぶやいたらたくさんRTしていただきました。 問題そのものは《平均変化率》や《微分》の定義をよく理解していれば簡単で、 理解していなければ難しいものだと思います。 時間制限なしで一問だけ解くのと、 たくさんの問題を限られた時間内で解くのとでは状況はまったく違いますし。
特に、(1)が解けないと先がまったく進まなくなるので、 出鼻をくじかれてしまって焦った受験生もいるのではないでしょうか。
毎年、受験生はこの寒い季節に受験するわけですが、 なんとかみんなが実力を十分に発揮できますように!
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「ゆるす」ということについて。
以下は結城の連続ツイート(連ツイ)です。 最初のツイートが「キリスト教とは関係のない話」となっていますが、 内容的にはばっちり関係があるので、 そういう話が嫌いな方はスルーしてください。
◆人をゆるすとか、ゆるさないとかいうときに、結城個人が考えていること。
http://rentwi.textfile.org/?557166681206689795
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さて、それでは今週の結城メルマガを始めましょう。
今回は、最近連載中の「数学文章作法のスケッチ(6)」をお届けします。 アウトラインをいじるだけではなく、 「ベタ」な文章の部分を書くときに「何をどう考えるか」という話題です。
そして、数学文章作法に相反するような、相反しないような、 そんな内容の「フロー・ライティング」をお送りします。
Q&Aのコーナーでは、 購読者さんからの質問「結城さんの蔵書は何冊ですか?」 にお答えします(答えているかどうかは微妙ですが……)。
自己矛盾をはらみつつも進む今週の「結城メルマガ」。 どうぞ、お読みください!
目次
- はじめに
- 数学文章作法のスケッチ(6) - 一つの文から始まる展開
- フロー・ライティング
- Q&A - 結城さんの蔵書は何冊ですか?
- おわりに
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Vol.148 結城浩/数学文章作法のスケッチ(5)/手書きノートのスナップショット(11)/
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Vol.150 結城浩/再発見の発想法/ゴールとプロセス/実家で引きこもっていたときに母が言ったこと/