結城浩の「コミュニケーションの心がけ」2020年7月21日 Vol.434
目次
- 《黄金の時間》の使い方 - 仕事の心がけ
- 妹に勉強を教えるとき - 教えるときの心がけ
- 恥ずかしくて文章を推敲できない - 文章を書く心がけ
- 何のために生きているのか
はじめに
結城浩です。
いつもご愛読ありがとうございます。
新刊と定期収入の話。
編集部から連絡があり、結城浩の最新刊『数学ガールの秘密ノート/複素数の広がり』はおかげさまで順調に売れているとのこと。応援を心から感謝します!
◆『数学ガールの秘密ノート/複素数の広がり』
https://note13.hyuki.net/
今回の新刊は、社会情勢の影響を受け、発売日が数ヶ月も遅れました。当然ながら、本が刊行できないあいだはその分の収入が得られないことになります。
それは、現在の状況でなかなか収入が得られない多くの方々と同様に、たいへんつらいことです。
現在は無事に新刊を刊行できていますが、遅れている最中には「いつになったら刊行できるのか」が不透明でした。それは大きな不安です。
今回のように「新刊発売が数ヶ月遅れる」という深刻な事態が起きたときに大きな助けとなったのは「定期収入」です。
定期収入というのは、たとえば、この「結城メルマガ」のような有料メールマガジンや、「結城浩のカフェ代支援」&「結城浩の作業ログ」といった支援サービスのことです。
◆結城浩の作業ログ(noteのサークル機能経由)
https://mm.hyuki.net/circle/
◆結城浩の作業ログ(pixivFANBOX経由「結城浩のカフェ代支援」特典)
https://hyuki.fanbox.cc/
これらのサービスを通じて、読者さんが結城に対してダイレクトに「定期収入」を与えてくださっています。それは、どれほど大きな助けとなっているか語り尽くせません。
経済的な意味だけではなく、心理的な意味もほんとうに大きいのです。
応援してくださるあなたに、心から感謝いたします!
* * *
Heyというメールサービスの話。
メールサービスHey(ヘイ)が話題です。メールという昔ながらのサービスを再構築しようとするもの。
◆Hey
https://hey.com
Heyの概要は以下のページに簡潔にまとめられています。
◆How HEY Works | HEY
https://hey.com/how-it-works/
通常のメールだと、やってきたメールは受信箱に入ります。それがスパムであろうとなかろうと入ります。スパムフィルタで除かれる場合はありますが、一般の人からのメールならまず受信箱に入ります。
でもHeyは違います。自分のHeyアカウントに初めてやってきたメールはいったんScreener(スクリーナー)が受け取ります。そしてユーザ(私)が「この人のメールは受け取る」と指定して初めて受信箱に入るのです。
通常のメールだと、ユーザは受信箱に入ったメールを必要に応じて別のフォルダに振り分けます。フィルタで自動振り分けをする場合はありますが、基本は受信箱に入ります。
Heyも最初はそうなのですが、ユーザが一度指定すると、それ以後は三種類のいずれかに直接振り分けられます(振り分け用のボタンが最初からあるのです)。
三種類というのは「人とのやりとり(Imbox)」「ニュースレターのような読み物(Feed)」そして「レシートやトランザクション用のそのほかの紙束(Paper Trail)」です。その性質に応じて見せ方を変えています。
そのほか多数の「通常のメールはこうだけど、Heyは違う」という項目があります。結城が実際に試した感触では、確かにメールの再構築という印象があります。
Heyが提供している機能の背後にはHeyの哲学があります。
その一つが「許可なく注意を奪わない(No consent, no attention)」こと。上に紹介した「受信箱(Imbox)に入ってくるのは許可したメールだけ」もその現れの一つですし、「通知はデフォルトでオフになっている」も同様です。すべて、ユーザが許可して初めて、メールはユーザの前に現れるのです。
その結果として「メールシステムがユーザを振り回す」のではなく「メールシステムはユーザのコントロールに従う」状況が生まれています。
Heyは有料サービス。一年間で99ドル掛かります。決して安くはありません。ただし、一回でも99ドル払えばそのメールアドレスはずっと確保され、たとえ課金をやめたとしてもメール転送はずっと続けるとのこと。
有料サービスになっているのにもHeyの哲学があります。それは「プライバシーではなく、お金で支払う(Pay with money, not privacy)」というものです。世の中の多くの「無料メール」では程度の差こそあれプライバシーを支払うことで利用料金を無料にしていることへの対抗です。
その他のHeyの哲学については、以下をお読みください。
◆The HEY Way
https://hey.com/the-hey-way/
結城は考えた末に課金してみました。継続するかどうかは一年以内に考えます。
Heyについては堀正岳さんの記事もお読みください。
◆メール整理を考え直したサービス「Hey」が一般公開開始
https://lifehacking.jp/2020/06/hey/
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それではそろそろ、今回の結城メルマガを始めましょう。
どうぞごゆっくりお読みください。
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