結城浩の「コミュニケーションの心がけ」2016年4月12日 Vol.211
はじめに
おはようございます。
いつも結城メルマガをご愛読ありがとうございます。
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新刊の話。
いよいよ『数学ガールの秘密ノート/場合の数』刊行です! 現在わかっている日程は以下の通りです。
4月15日(金)一部の書店さん向けサイン本の作成
4月16日(土)以降、一部の書店さんでサイン本先行販売
4月19日(火)以降、全国の書店さんで販売
いつものことですが、日付はあくまで目安です。 流通の都合により、数日単位でずれることがあります。
サイン本取り扱い書店さんについては、情報を入手でき次第、 TwitterやWebなどでアナウンスしたいと思います。
また、サイン本とは別の話になりますが、 いくつかの書店さんでは《結城浩のメッセージカード》 が同梱された書籍も刊行されます。 メッセージカードが同梱された書籍は、 サイン本と比べて冊数も多くなりますので、 入手しやすいと思います。 メッセージカード取り扱い書店さんは、 以下に掲示してあります。
◆『数学ガールの秘密ノート/場合の数』メッセージカード取扱店情報
https://note.mu/hyuki/n/n5f9733f8cefc
『数学ガールの秘密ノート/場合の数』は秘密ノートシリーズの第7作目。 どうぞ応援よろしくお願いいたします!
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視覚に障害がある人がプログラミングする話。
以下のQiitaのページでは、 視覚に障害がある @moutend さんがプログラミングをする様子が描かれています。 あなたもぜひお読みください。
◆目が見えなくてもプログラミングできるよ
http://qiita.com/moutend/items/2696139d0b96805ea415
この方は、コンピュータの音声読み上げ機能を使い、 音声を頼りにプログラムを書きます。
以下の動画では、この方が、 「SafariでSlackの設定ページを開いてトークンを発行する」 というGUI操作を行っている様子が記録されています。
◆音声だけを頼りにプログラミングしてみた - YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=sAi_Yf4GOS4
スクリーンリーダーを利用し、 画面にあるものを音声としてコンピュータに読み上げさせ、 その情報をもとに操作を行っています。
この動画を見ると、すごい……というか、 何というか言葉を失ってしまいます。 感動、というと安っぽい表現になってしまいますが、 やはり感動、なのでしょう。
この記事の最後の文章を以下に引用します。
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視覚障害のためにエンジニアとしての能力が
阻害されることがあってはならないと考えています。
また、視覚障害があってもコーディングしている人
という存在を当たり前のものにしたいと私は考えています。
http://qiita.com/moutend/items/2696139d0b96805ea415
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うん、そうか。 ということは、感動するだけじゃなくて、 視覚障害者であっても、 プログラミングしている人がいるということを、 みんなで広く伝えるべきなのかもしれませんね。
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批判の話。
結城はTwitterでしょっちゅうツイートしている。 一般論として批判的な考えをツイートすることもあるが、 個人を批判することは少ないはずだ。
結城の主張は、そのほとんどが誰か個人への批判ではない。 でも、つい「誰かを批判するわけではないが」 と注意書きをつけてしまう癖がある。
たぶん、批判することも、 「批判しているだろう」と批判されることも嫌いなのだろう。 そのように自己分析している。
結城が個人を批判するときには、ほとんどの場合、 ちゃんと名ざしにするか、 本人にメールやメッセージで(クローズドな方法で)伝えるように心がけている。
「ほのめかし」で個人批判はしないようにしている。
批判といえば、 飯間浩明さん(@IIMA_Hiroaki)がこんな話を書いていた。
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前にも述べましたが、
日本語の形容詞(「〜い」)は
プラスの感情(嬉しい、楽しい)に比べて
マイナスの感情(憎い、悔しい、怖い、恥ずかしい)が格段に多い。
人はプラスよりマイナスの気分の時のほうがものを言いたがるからでしょう。
我々は放っておくと愚痴、中傷、批判ばかり口にするとも言えます。
https://twitter.com/IIMA_Hiroaki/status/687563291032330240
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なるほど。気を付けたい。
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校閲の話。
Twitterの @mainichi_kotoba さんは、 毎日新聞・校閲グループのアカウントです。 普段から新聞の「校閲」に関係したツイートを行っています。
先日、以下のツイートで、
「今でもマンガは人気な娯楽のようだ」
を、
「今でもマンガは人気の娯楽のようだ」
に直すという話題が出てきました。
https://twitter.com/mainichi_kotoba/status/711757483845492736
確かに「人気な娯楽」よりは「人気の娯楽」がしっくりきます。 でも改めて、
「今でもマンガは人気の娯楽のようだ」
という文を読むと、 今度は「の」が重なるのが気になります(気になりませんか?)。 結城だったら、何回か読み返して気になるようなら、
「今でもマンガは人気の娯楽らしい」
のように直したくなります。 こうすれば一つ「の」を減らせるからです。
校閲の直し方と著者の直し方は観点が違う、 といえる話なのかもしれません。
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相互再帰的なツイート二つ。
楽しみのために描いたものなので、 特に深い意味はありません。 でも何だか、この二つの画像は《相互再帰的》という感じがします。
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本を書く話。
「本を書く話」というのは、この結城メルマガでよく書いていることです。 でも今回は結城が書く本の話ではありません。
先日「結城さんの文章に背中を押していただき、 プログラミングの本が書けました」というメールをいただきました。 Pythonの入門書を書いたというエンジニアの鎌田正浩さんからです。 結城の文章に背中を押されたとのこと。
鎌田さんが読んだのは、 結城が2006年に書いた以下の日記(をnote.muに再掲したもの)です。
◆「もっと学んでからにしよう」と思わなくて、本当によかった
https://note.mu/hyuki/n/n9c65b161bd8a
結城が10年も前に書いた文章が他の人のはげましになるなんて (しかも書籍執筆に関わるなんて)、本当に感激です。 鎌田さんのメールは、許可を得て以下で紹介しています。 書籍執筆に関心のある方はどうぞ。
◆「結城さんの文章に背中を押していただき、プログラミングの本が書けました」
http://www.hyuki.com/d/201603.html#i20160322120000
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数学ガールの読み方の話。
結城は、多くの人から、
「数学ガールという本を自分が読んで全部わかりますか?」
と尋ねられます。 あの本を読んでまったくわからない人は一人もいないです。 でも、すべてをわかる人も(数学者をのぞき)一人もいないです。 一度ですべてをわかるものではありません。 『数学ガール』は、中高生から、半年くらいの間をおいて、 繰り返し読むときに真価を発揮すると思います。 そして、誰からも言われないのにそのことに気付き、 実践している読者さんがけっこうな人数いらっしゃいます。
『数学ガール』や『数学ガールの秘密ノート』は、 参考書とは違うし、問題集とも違うし、もちろん数学書とも違います。 ときどき読んで、彼女たちと話し合って、自分の力を試すような、 数学とどれだけ「お友達」になったかを試すような本です。
これさえ読めば入試ばっちり! というたぐいの本ではありません。 でも、これらの本を読んで「数学が好きになった!!」 という人はたくさんたくさんいます。これは本当。
必ずしも成績が良くなるとは限らないけど、 結城の本を読んで数学が好きになった人はとてもとてもたくさんいます。 特に、頭が良くて成績もいいけど、授業ではいまいち数学を好きになれなかった人。 そんな人が結城の本を読んで、 「そうか!数学はそういうおもしろさをもっているのか!」と気付く。 「数学書って、好きに読んでいいんだね! 知らなかった! 自由に先に進んでいいんだ!うれしい!」と言いながら、 ザクザク読んでいる人もいます。素晴らしい。 感謝である。
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教師に望むこと。
教師が、生徒の可能性をせばめてはいけない。 教師は、生徒の力をそれぞれに見抜き、適切なガイドをしてほしい。 生徒は、教師よりもずっと未来まで生きる。 生徒に有効な「武器」を与えてほしい。
教師は生徒に自分のすべてを伝える。 そして「私があなたに伝えられることはここまでだ。 あとはあなたが学びなさい。力一杯学びなさい」という。 「あなたは私が見られなかった世界を見るだろう。 その素晴らしさを、いつか教えてほしい」という。
結城が教師に対して期待するのは、そのような態度だ。
けれど、それは、ファンタジーに過ぎないのだろうか、 結城は夢を見すぎているのだろうか。どうだろう。
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頭をぶつける話。
ラブコメのドジっ娘は、何もないところでよくコケます。 結城は、誰もぶつけないところによく頭をぶつける。
妻からよく言われます。 「あなたはどうしてそんなに頭をぶつけるの?」 やさしい妻は、 「賢すぎるから、すこしぶつけて調整してるの?」 とフォローしてくれますが、単なるドジっ子だと思います。
なぜそんな話を書いているかというと、 先日、道ばたの看板に頭をしたたか打ったから。
いたた……
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では、今週の結城メルマガを始めましょう。
どうぞ、ごゆっくりお読みください!
目次
- はじめに
- 再発見の発想法 - カーソル
- 「どうして?」の話
- 妬みについて
- 対話を通じて深い学びに至る態度
- おわりに
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