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『カエルの楽園』

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 ナポレオン岩場でローラと別れて池の近くに戻ったソクラテスとロベルトは、岩場で見たことを話し合いました。
「やっぱり、この国のカエルたちの考え方は尊敬に値する」
 ロベルトの言葉に、ソクラテスは答えました。
「たしかに、不思議な考え方だけど、魅力的だ」
「魅力的? そんなものじゃないだろう。俺はカエルたちの思想の究極に行き着いたものだと思う。ソクラテスもそう思わないか」
「いや、少し待ってくれ。ぼくにはまだこの考え方は深すぎて、すぐにはついていけないんだ」
「何を言ってるんだ。目の前にこんな素晴らしい実例があるのに、まだ理解できないなんて――。『贖罪の歌』はお前も聞いただろう。『原罪』を背負い、すべてのものに向かって謝る思想というのは、もはや思想を超えた美とも言えるものだよ。そして、ただ美しいだけじゃない。それを確固としたものにする力がある。それが『三戒』だ。お前も南の崖を見たじゃないか。あのウシガエルが崖を登るのを諦めたんだぜ。あれが『三戒』の力でなくて何だ」
「『三戒』の素晴らしさはぼくも認めるよ。でも、ウシガエルが崖を登ってこないのは、本当に『三戒』のせいだろうか」
「ほかに何があるって言うんだ?」
 そう言われると、ソクラテスには何も答えられませんでした。
「とにかく、この国は何もかも素晴らしいんだよ! ナパージュ、万歳だ!」