映画「ファイト・クラブ」を見たことがあるだろうか。
内容は、現代社会の中で生きている実感を失った主人公が、素手で殴り合うことを通じて生きている実感を取り戻す――という話だ。ただ、この映画において「生きている実感を取り戻す」というテーマは、あくまでもサブ的に語られるもので、主題はそこにはない。主題は、現代社会と、そこに住まう人々の狂気性みたいなものが描かれていた。
しかし、そういうふうにサブ的に描かれているだけに、このことは「多くの人が実感できるもの」なのかもしれない。多くの人が、「確かに、殴り合ったら生きている実感がするだろうな」と感じたからこそ、サブテーマとして「軽く」扱うことができた。もし、「殴り合うなんて野蛮なことをして、生きている実感が得られるわけないじゃないか」などという反論が予想されれば、それに対する説明がもっと長かっただろうし、テーマとしても大きく扱ったはずだ。
しかし、そう
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