社会というものは「人口動態」と深く結びついている。それに伴い、文化や環境、価値や考え方というものも、深く結びついている。
それゆえ、人口動態を注意深く観察すると、社会のさまざまな局面が理解しやすくなる――ということがある。
例えば、日本の人口はここ百年でざっと三倍に増えた。四千数百万人から一億三千万人になった。
このとき、最も大きな問題だったのは「食糧」だ。なにしろ、これまでの三倍分の食料を賄わなければならなくなったから、急激な変革の必要性に迫られた。
その急激な変革を、日本人はどのように果たしたのか?
答えの一つが、「漁業を拡張する」ということだった。
日本の漁業は、ここ百年で拡張の一途を辿った。特に戦後は、遠洋漁業が盛んになり、日本の漁船は世界中の海を駆け巡った。そんな中で、アメリカのビキニ島沿岸にまで行った日本の漁船が、核実験の放射能を浴びるという事件まで起きたほどだ。
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