恥ずかしながら、ぼくは30代の後半になるまで、あまり考えたことがなかった。というより、服をちょっと軽視しているところがあった。
高校生の頃、ぼくは自意識がとても強かった。自意識が強い人間は、周囲の目を気にする。ぼくは、誰が見ているわけでもないのに、いつも周囲の目を気にしていた。
そして、その頃のぼくが最も怖れていたのは、「かっこつけてる」と思われることだった。ぼくは、「かっこつけることほどかっこ悪いことはない」と思っていた。だから、「かっこつけてる」と思われるのが本当に怖かった。
かっこつけていると思われるのを怖がったぼくは、自然と無難な服しか着ないようになった。その頃は、ジーパンにネルシャツ、冬は上にセーターを着る――というのが定番だった。トレーナーを着ることもあった。いわゆるオタクのような格好をしていた。そうして、とにかく目立たないよう目
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