ぼくは、仕事柄出版業界の方々とおつき合いする機会が多いのだが、彼らの中には今、ある独特の雰囲気、空気というが生まれている。ちょっとした風向きの変化が起きているのだ。
それは、彼らがこれまでの「ヒット狙い」から「ホームラン狙い」にシフトしつつある――ということだ。今回は、そのことについて書いてみたい。

出版業界は今、嵐の前の静けさだ。
それは、来るべき(あるいは来つつある)「電子書籍」の時代に、ビジネスのやり方を変えざるを得ないのは分かっているのだが、しかし今はまだ「紙」の本が売れているため、大胆に移行することもできない。そのため、いつ移行するかという機会を見計らい、虎視眈々となっているのである。

今、出版業界の人々はこう思っている。
――紙の本の売上げは、確実に下がる。しかも大きく下がる。だから、これまでのようなビジネスのやり方は続けられない。新しいビジネスに移行しなければならない。
しかしながら、今