「人間はなぜ絵を描くか?」ということがあるとき分かったので、今日はそのことについて書く。


人間はなぜ絵を描くか?
それは「所有欲」から来ている。

あるとき、美しい景色を見た人がいた。その人は、その景色にたいそう感動し、しばらく見入っていた。
その後、その人は重大なことに気づいた。それは、「その景色は移り変わってしまう」ということだ。

その人は、その景色を何とかとどめておきたいと思った。何らかの形で固着させ、何度となく愛玩したいと思った。自分の手のひらの中に、その景色を握りしめたいと思ったのである。

そんな「景色を我が手に」という「所有欲」から、絵を描くという行為は生まれたのだ。
だから、絵を描くという行為は、その原初において非常に穢れている。なぜなら、それは、景色という非常に大きなもの――この世界そのもの――を所有したいという、傲慢で不遜な欲求に端を発しているからだ。

ただし、面白いのは、そういう傲慢で不