ぼくが糸島に来たきっかけの一つに、ぼく自身が「土」のことをよく知らなかった――ということがある。数年前、ぼくは「土について全くの無知である」ということに気づかされた。そして驚愕した。これだけ知識に溢れたぼくが、あらゆる知識の中で最も重要ともいえる「土」について何も知らないというのは、狂気の沙汰としか思えなかったからだ。
たとえていうなら、デッサンをしないで絵を描いていたようなものである。キャッチボールをしないまま、野球をしていたようなものだ。基本のキをすっぽかして、表面ばかりをなぞっていたのである。
土は知識の一丁目一番地である。人間の知識はまず土を知ることから来ている。土への知識なくして文明も文化もない。そのことに気づいて、自分はなんと無知だったかということに気づかされた。50歳くらいのときのことである。
それで糸島に来て土の勉強を始めた。庭を作っているが当然農業にも興味を持った。さらに
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石原莞爾と東條英機:その63(1,862字)
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