金閣寺(正式名称は「鹿苑寺舎利殿」)は、全ての日本人はもちろん世界中の人が知っている超有名な存在だ。そのことは子供の頃から「常識」だったから、ほとんど何の疑いも抱いていなかったが、よく考えればすごいことである。エジプトのピラミッドや万里の長城、パリのエッフェル塔にも比肩する存在ということだ。日本の人工物でいえば、間違いなく一番だろう。

そして、金閣寺の魅力は多くの人が「建築」だととらえているが、それは違う。ためしに「金閣寺」で画像検索してみると、すぐに分かる。最初の数ページには、「建物だけ映っている写真」は一枚も出てこない。
必ずその周囲の庭が映っている。特に「池」が映っている。金閣寺は、この庭と池が込みでないと成立しないのだ。庭と池抜きの建築は、目の入っていない達磨のようなものである。

お寺の庭というものは、普通はその前に建てられた本殿から眺めて楽しむ。そうしてそこに、極楽浄土の存在を感