「自動化された言葉」を話す人は世の中に多い。というより、自動化された言葉から完全に自由な人はひとりもいないだろう。
というのも、そもそも言葉というのは誰かが作ったものを借りているだけなので、それを使っているだけで、それこそ自動的に、借り先のニュアンスや意味合いを借りてくることになる。そうなると、自動化は避けられないのだ。
そこで、ポイントとなるのはそれを借りるときに咀嚼しているかしていないかということになる。「咀嚼」とは、具体的にいえば「言葉の定義」を腹落ちさせるということである。言葉が指し示すものを、自分の中できちんと了解している、ということだ。それをした上で話すと、自動化された言葉になりにくい。
ところで、小津安二郎の映画の特徴として、「役者が同じようなセリフを3度以上くり返す」というものがある。例えば――
A「そうかな」
B「そうだよ」
A「そうだな」
B「そうさ」
A「うん、そうだ
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