大ヒットしたトマス・ウェストの『湖水地方案内』に代表されるように、18世紀後半、「ピクチャレスクな景色」を紹介するガイド本がいくつも出版された。これは、当時イギリスの中産階級の間で、旅行が流行し始めていたからだ。そこで「ピクチャレスクな自然」が人気スポットとして脚光を浴びるようになった。
このとき、人気は「分かりやすいもの」に集中した。すなわち、それらは自然ではあるが人工的で良かった。いや人工的な方が良かった。まるで舞台美術のように、近景・中継・遠景が等分に配置され、要素の多様さ・豊富さを持ちながら、同時に統一感をも併せ持つ。
現代では、カメラの初心者向けに「どうすればいい写真が撮れるか?」という記事が、ネット上にいくつもある。これはスマホが普及して誰もが写真を撮るようになったからだが、まさにその初心者向けに推奨されるような構図の自然が、当時も人気を集めたのだ。そこでは分かりやすさが重視さ
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