1990年前後に「月9」というブーム(ブランド)が生まれ、ふくらんでいった。1990年代の半ばには支配的になって世間を席巻する。それはまさに「テレビの時代」だったともいえよう。そしてテレビの時代の中心にいたものこそ「月9」だった。

それがバブル崩壊や『ちびまる子ちゃん』の隆盛、あるいは音楽ブームと同時に起こっているのが面白い。いずれもバブル崩壊の後遺症がもたらしたものという見方もできるが、同時に虚飾から本質へと移行する、その過渡期に咲いた一つのあだ花とも見ることができる。

なぜ「あだ花」かというと、その在りようが「夢」だったからである。夢には2つの意味がある。1つは、現実とは別の世界(夜に見る夢)。もう1つは、これから叶えたい願い(将来の夢)。いずれも、「現実」ではない。だからこそ、結局はあだ花で終わったのだ。

1990年代、日本人は虚飾の宴が終わったことによって現実を突きつけられた。その