生きるとは何か?:その12(1,864字)
今回は、「自分がこの世界の一部であることを思い出す方法」について見ていきたい。
トルストイの『アンナ・カレーニナ』という小説がある。ここには、二人の主人公が出てくる。タイトルにもなっているアンナという女性と、そしてリョーヴィンという青年だ。物語は、この二人のエピソードが交互に展開するので、二人は全く対等の主人公といえる。
ところが、この作品におけるアンナは人気で有名であるにもかかわらず、リョーヴィンは不遇だ。映画化や舞台化などをされると、決まって話がアンナのパートに集中し、リョーヴィンのパートは全部カットになったりする。
あるいは、20世紀の偉大な小説家であるナボコフも、「リョーヴィンのパートは不要だ」などと言ったりしている。そのため、この作品におけるリョーヴィンは、今に至るまでほとんど注目されていない。『アンナ・カレーニナ』という、世界の小説史の中でも指折りの作品の主人公であるにもかかわ
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