1991年3月、ぼくは大学を卒業しようとしていた。ちょうどそのとき、つくば市の実家に帰省していたのだが、家の近くの西武デパートの最上階にある映画館に、『ゴッドファーザー PART III』がかかっていた。
この作品は、盛んにテレビCMを打っていたので、そこで知った。そうして、自然と興味を惹かれたので、見てみることにしたのだった。
なぜ興味を惹かれたかといえば、CMで見た映像の、そのセピア調の色彩が魅力的だったからだ。また、音楽の醸し出すムードも良かった。いずれも、その雰囲気が良かった。それで、ほとんど内容も知らないまま見ることにしたのである。
実は、恥ずかしながらこのときまで、ぼくは『ゴッドファーザー』の1も2も見たことがなかった。見るのはこの3が初めてだった。
ところが、そんなふうに過去作を知らなかったにもかかわらず、見て、圧倒された。前段は分からずとも、その雰囲気、ムードに圧倒された。
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