多くの人は、「人間は結局、他人のことを理解できない」と思っている。それはそれで正しいところもある。そもそも、人の心は姿や形がなく、言葉でも表現できないので、記録したり、定義したりすることが不可能だ。

その上、厄介なのは人間の器官や感覚には錯覚がつきまとうということである。そのため、自分自身でさえ、自分の心をしっかりととらえることができない。そんなふうだから、他人の心が分かるはずもない。それで、多くの人は「人というものは基本的に理解不可能」ととらえているのだ。

しかしながら、もう一方では厄介なことに、人間には「理解不可能なことを嫌がる」という性質がある。なぜ嫌かといえば、単純に「怖い」からだ。理解不可能なものに対して、多くの人は「自分の命が脅かされる」というくらいの強い警戒心を抱く。

例えば、「蛇が怖い」という人は多い。ぼくも怖い。どんなに小さく、噛まれても死なないと分かっている蛇でも、見る