それは「絵とは何か?」という哲学的な問いかけをすることでもある。
絵というものには、「写実か印象か」という二項対立的な考え方では解決できない問題がある。例えば、絵に「輪郭線」は必要か?
絵で対象物(例えば人や動物)を描くとき、そこに輪郭線は、厳密にはない。しかし人は、脳でその輪郭線を感じる。だから、古代の遺跡から出土した絵にも輪郭線が描かれているし、絵のことを何も習っていない幼児でも輪郭線を用いて描く。
そのため人は、長い間当たり前のように輪郭線を用いて対象物を描いてきた。しかしルネサンス期に、輪郭線を描かないようにするというムーブメントが起こる。なぜなら、そもそも対象物には輪郭線などないからだ。
そこで、線ではなく面でとらえるという考え方が生まれ、そこから遠近法が発展していった。そうして写実性がどんどん高まり、それに連れて輪郭線は過去の遺物となっていった
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