お金というのは、虚構である。お金そのものには、基本的には価値がない。紙幣はただの印刷物だし、硬貨は鋳物に過ぎない。

しかし、その虚構を多くの人が信じると、流通が円滑化され社会に大きな利益がもたらされる。だから、為政者はいつでもお金の虚構性を最大限高めようと努力してきた。お金そのものに魅力を持たせ、誰でもそれに価値があると信じ込ませるよう努力してきたのである。

ぼくは、昔から不思議だった。なぜお金というのは、そこまで凝った印刷にする必要があるのか? 例えば、印刷の目を限界を超えて細かくしたり、あるいは透かし彫りを入れたり。

もちろん、それは「コピーされない」という大きな目的もあるのだろうが、それ以上に「お金に魅力を持たせること」が重要だったのである。紙幣に人物を描くのもそうで、あるとき誰かが紙幣に人物を描いたところ、そこに大きな魅力が宿った。とてつもないオーラが宿った。

そうして、人々がお金