気がつくと、ここ10年は歴史書ばかり読んでいて、ぼくの中で「歴史観」のようなものが醸成されてきた。「歴史観」とは、「日本史とはこういう流れだ」というような意味ではなく、「歴史書はこうやって紡ぐんだ」という意味での歴史観である。簡単にいうと「歴史書の作り方」がなんとなく分かってきたのだ。
では。歴史書はどう作るのか?
そこで必要となることは、三つある。
第一は、フラットな視点を持つこと。全体を俯瞰で見ること。なるべく公平性を保つことである。
失敗している歴史書というのは、だいたい何らかの思想にまみれている。そこで作者が伝えたい思想がありすぎる。
そして不思議なことに、そういう歴史書は正確でないのはもちろんのこと、面白くもない。
一方、フラットな視点を持っている作者の歴史書は面白い。どちらかを悪く描くのではなく、どちらにも良い面と悪い面とがあると描くところに、独特のリアリティが生まれ、それが歴
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