世界的なプロダクトを生み出す日本の美的感覚:その56(2,231字)
『スーパーマリオブラザーズ』における最大のコンセプトは、「大きなキャラクターを動かす」ということにあった。
これまでくり返し述べてきたとおり、ファミコンはとても非力なマシンであった。そのため、動かせるキャラクターの大きさには限界があり、それは16×16ドットだ。それ以上多いキャラクターは、動かすのが難しかった。
しかしそこで、逆に「大きなキャラクターを動かしたい」という欲求がプレイヤーの間に育まれるようになった。そこに目をつけた任天堂の制作チームは、プレイヤーのそうした欲求を叶えるべく、「大きなキャラクターを動かすこと」を一つの目標に据えた。そうして2年間にわたるハード研究の末、ついにそれが成し遂げられるようになったのである。
ちなみに、『スーパーマリオブラザーズ』の最初の面では、その大きなキャラクターを動かす快感を味わってもらえるよう、あえて小さなキャラクターからスタートし、すぐにキノコ
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