『この世界の片隅に』と嫉妬心について(1,836字)
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『この世界の片隅に』を見た。
以下にネタバレを含みます。
まだ1回しか見られてないなので細部まではチェックしていないが、見ながらぼくが思ったのは「ずるい映画だ」ということだ。まず主人公が広島出身で、映画の最初の方に原爆ドームの絵を描いているシーンが出てくる。戦前のまだ原爆ドームになる前の原爆ドームだ。それと、昭和12年というテロップを見て、「あ、これは原爆の話なんだ」というのが、見ている全ての人に分かる。
そこから、カウントダウンが始まる。昭和20年8月6日に向かって、主人公の日常生活が、淡々と、しかし興味深く、山あり谷ありに描かれていく。
これがとてもずるい。
本来、物語において面白いのは登場人物のこういう日常描写なのである。『罪と罰』も『レ・ミゼラブル』も『ハックルベリー・フィンの冒険』も、登場人物の日常が淡々と、しかし山あり谷ありに描かれているから面白い。特に、昔の話は今とは違う文化
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