らず紹介されてまいりました。私の想像を絶する波乱万丈の人生でおこった数々の凄まじい事
件の大半は私の著書や映画にてあらわされておりますが、それは至って表面的な活劇物語の部
分だけで終わっております。そこででた多数の死者(加害者の悪人であったり、時には味方で
あったり)についての詳述や事件の背後にある物語の暗部(コアの部分)は私の法的な安全性
と強大な敵(強力なマフィアやゲリラ)との対決を避ける為、とてもあらわにすることは出来
ませんでした。日本でもメジャーの数チャンネルのテレビに出演したり、数十の雑誌が私をイ
ンタビューしましたが、彼らは私を単んなる成金成功者のように取り上げ、私が視聴者や読者
に伝えたい人生観やその生き様はもとより、逆境からの解決脱出方などには無関心でした。
しかし、私の実像は全くの冒険者なのです。しかも、自分の口からいうのは憚られますが、世
界最大級の冒険者です。もしそうでなければ、もし私が経済的成功を追い求める普通の人間だ
ったら現在の無一文の私は考えられません。
数十億円を冒険というプロジェクトにつぎ込んで使い果たしたのです。
なにもリビアやシリアに武装軍団を送り込ん
だ訳ではありませんが、それに似たようなこと
をコロンビアの鉱山ゲリラ地帯で長年やってき
ました。何百人という鉱夫兼兵隊が大家族のフ
ァミリーとして、一カ所に居住しエメラルド鉱
山開発を未開地でやる訳です。私の完全武装し
た数十名のジープ軍団が広範な鉱山地帯、時に
は隣接のゲリラ地帯を疾走しますが、たまにゲ
リラ部隊と出っくわわし交戦することもあります。エメラルド輸送中に襲ってくる盗賊,これ
に屈したら大事な命まで失くしてしまいます。これにはもちろん命がけで反抗し、逃げながら
の応戦で逆に賊の方に犠牲者が出たこともありました。一度だけ経験したゲリラの大部隊との
交戦では双方に戦死者がでました。誘拐団は取っ捕まえたらそのまま釈放したり警察に渡すな
んてことはしません。恐喝グループもしかりです。反対にこいつ等から弁償金をとります。鉱
山内で出産したばかりのエメラルド原石を盗み出した坑夫の処置も他へのみせしめのため凄惨
を極めます。コカイン・シンジケートとの抗争でも死者が出るのは当然です。最も多くの死者
が出たのは隣領のエメラルド鉱山一家と抗争になったときです。付近の村のあちこちのビリヤ
ード・バーやサッカー場で互いの鉱山ファミリーの坑夫達が酒を飲んで数多くの殺傷事件を引
き起こしました。特に残酷なのは鉱夫仲間うちの裏切り者への仕打ちで、私が関知しないとこ
ろで起きたリンチ惨事を彼らが後で私にそっと耳打ちしてきます。我が大ファミリー内でも殺
人事件が時々起こりますが、それはほとんど鉱夫同士の敵討ちです。それも後ろから抗穴に突
き落としたりと事故を装います。そういった事件を鉱山主であるファミリー長は警察沙汰にな
らぬよう処理しなければなりません。被害者の家族が告訴すれば警察が介入し鉱山テリトリー
になだれ込んでくる厄介な事態となるからです。他にもいろいろな事件が発生しますが、いず
れにしても私自身がアクシデントに直接手を下すことはゲリラ交戦中でもなければまずありま
せん。又、いずれの処置の指令もファミリー長である私が下すことなく、暗黙の了解で同じフ
ァミリー内の同格に近いソシオ(パートナー)の2番手が手際良く処理する仕組みになってお
ります。それが鉱山ファミリーのしきたりで一家の親分を守るシステムが出来上がっている訳
です。男の世界はどこも同じ、完全に任侠心がファミリーに浸透しております。しかしながら
私の鉱山ファミリーメンバー(鉱夫にして戦闘員でもある)300人が犯した私には関係ない殺
傷事件の全責任をその長である私が負わなければならないとすればその総数はおびただしく数
ダースにもおよぶことでしょう。日本の大きなヤクザ一家の親分でも末端の子分に至るまで全
組員のしでかした殺傷事件の責任を負わされれば一生の間には判明しているケースだけでも1
ダースぐらいにはのぼるでしょう。鉱山ファミリーとヤクザ組織を同一視するすることはでき
ませんが利害関係が一致している点で似たところがあります。またコロンビアの警察も一般市
民もエメラルド屋をマフィア的に見なしております。
私はこれまでの人生で、小さな窃盗も含めいっさい破廉恥犯罪を犯した事はありません。
せいぜい交通違反ぐらいのものです。
ただし、自分の命を守る為には敵を抹殺することもいといません。当然の理で、殺らなければ
殺られるからです。私におこったコカイン・マフィアとの抗争や他の鉱山一家との抗争もそう
いう状況下にあり、エメラルド街道での襲撃事件やゲリラとの交戦はその実証となりました。
"目には目を"、西洋では "歯には歯を"、と言いますが、凄まじい恨みをはらすのに警察頼みで
は解決しないのが世の常です。愛する子供を誘拐しようとする誘拐犯どもを捕まえたら、殺さ
ぬまでにも、ただではおかないというのが正当な人情でしょう。また、大切な財産を盗んだり
だまし取ったりする極悪人もそれ相当のリンチに処すべきというのが人情でしょう。ぶっ叩い
て半殺しぐらいではとてもおさまりません。村で我々ファミリーが仲良くしていた家族の娘さ
んがレイプされた時には仲間が他の村へ逃げていたその男を見つけ出し捕まえてきて、まるで
テレビドラマの<お仕置き人>みたいに、ビッコにすべく男の片足を丸太で叩き潰してしまい
ました。これは捉え方によっては殺されるよりひどい処置です。
ボゴタの街なかで起きた事件では、こういう
こともありました。私のエメラルド取引所がエ
メラルドのセールマン・ユニオン(組合)とも
めて抗争状態にあったとき、私のオフイスの前
にピケを張りオフイスを封鎖し商売妨害を仕掛
けたユニオンと私の従業員一同がついに殴り合
いの喧嘩に突入しました。闘争のさなか圧倒的
多数の敵を前に私が銃をとりだしてこの卑劣な豚どもめがけて徹底的に乱射したのです。もちろん弾が当らぬように足下スレスレ、頭上スレ
スレの素早い狙い撃ちでしたが、幸運にも前面の敵には誰も銃を取り出し応戦できる度胸の
ある奴はいませんでした。前面の十数人の中には一人か二人は銃を携帯している奴がいたは
ずです。前面その後方の2、3百人程もの敵が銃声乱射を聞き何事が起こったかと皆真っ青に
慌てふためき、腰を抜かさんばかりに逃げ出していきました。
これで一気に闘争は終決、この場合これ以外の解決方は無かったのです。もちろん、警察か
らは大目玉を食らいましたが、もしこれをやらなかったら30人ばかりの小勢の我々はおそ
らく踏みつぶされて殴り殺されていたでしょう。
映画エメラルド・カウボーイのそのシーンでは少数でも私たちが殴り合いで押し返したよう
になっていますが、実際はこんなものです。現実はそんなに甘くはありません。一瞬の機転
が危機をすくったケースでしたが、危険きわまりない決断でもありました。もし反撃されて
いたら我々30人は皆殺しになっていたでしょう。
いくつもの事件に関して告訴され裁判にかけられました。ある時期には5か6の裁判所にか
けもちで出廷していました。さすがにその時は私のエメラルド取引場の日本人のお客さん達
や私の日本人従業員の井上君も目を丸くして驚いていました。警察による起訴より悪い奴ら
の一般市民からの告訴がほとんどで、ぶん殴られての補償金めあての訴訟です。これまでの
3、40年の間に民事訴訟をのぞき、少なくとも4、50件ぐらいのペナル(刑事)訴訟に関し
て裁判所巡りをしてきました。しかし留置所には何度か入れられたことはありますが、刑務
所にはまだ入れられたことはありません。なんとか防ぎきってきたのです。
さんざん悪いことをしまくってる極悪人を叩きのめしたぐらいで殺人未遂で訴える国柄です
から裁判所も容易に悪人の味方はしません。
死なない限り(殺されない限り)問題は無い。
悪い奴は殺れ。
これが私のモットーです。
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