ひろぐ

盗まれた物は盗み返す!

2013/05/27 14:58 投稿

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事の発端は今から何年も前に送られて来た
ある脚本だった!

今から5年も前の『ひろぐ』記事
『フランケンシュタインとそのモンスター』
を是非ともお読みいただきたい!
そこに登場する脚本家の名は
「西野亮廣(にしの・あきひろ)」
通称「あっくん」
そしてその脚本家による戯曲のタイトルが
『ドーナツ博士とGo!Go!ピクニック』
だった!

昨年春のある寒い日に
私はかつてのマネージャーから
「相談内容は会ってから話すので
 東京に来てもらえないか?」
と怪しい相談を受けた!
「神夏磯」と書いて「かみがそ」と読む
なんとも不思議な名前の社員だ!
一度本人に名字の由来を聞いてみた!
『日本書紀』の中に「神夏磯媛」と書いて
「かむなつそひめ」や「かんかしひめ」と読む
女王様が登場するという!
「神夏磯」という文字並びが他には見当たらない事から
彼は自分がその女王の子孫に違いない
となぜかちょいと得意気に語った!
彼は更にこう続けた!

「”神夏磯媛こそ卑弥呼ではないか?”
 いう説もあるらしいんですわー!
 けど卑弥呼いう人物自体が
 実在したのかどうか怪しいらしいんすわー!」

実在したかどうかわからない!
ということは架空の生き物という可能性が高い!
そうなれば卑弥呼は
「かっぱ」や「てんぐ」の仲間だ!
だとすれば社員「神夏磯」など
「かっぱ」や「てんぐ」の子孫だ!
何も敬う必要などない!
「しりこ玉」さえ抜かれなければ
恐るるに足りない社員だ!
私にはその謎めいた申し出を
軽く断る事ができた!

しかしながら内容を明かされないままに
東京に呼び出されてみるのも
「長生き」をする上では
また一興というもの!
私は何も聞かずに東京へと向かい
一般の民家をそのまま使用している
すき焼き屋さんへと入店した!
そこには「かっぱ」の子孫である
「神夏磯」が一人で待っていた!

「実はですねぇ・・・
 キングコング西野さんの脚本
 『ドーナツ博士とGo!Go!ピクニック』を
 後藤さんの演出でやって欲しいんですわー!」

この語尾の「わー」が「神夏磯」の口調だ!
恐らく「かっぱ」の名残だろう!

「神夏磯」はかつて私のマネージャーでもあった!
なので
”後藤ひろひとは他人の脚本には触れない”
というルールも知っていた!
そのため
私に対してその相談を持ちかける間中
ずっと落ち着かない様子だった!
何と言われて断られるかを
最初から待っている顔をしていた!

しかし!
私が”触れない”と決めたのは
あくまでも”他人の脚本”である!
『ドーナツ博士とGo!Go!ピクニック』は
あまりにも見事に私の脚本を真似て書かれており
それはもう”他人の脚本”と呼べるものではなかった!
初めてあの脚本を読んだ時の
私の率直な感想は
「どろぼー!」
である!
なので私はいつの日にか
あの作品をどうにかしようと考えていた!
そこで私は「かっぱ」の子孫に即答した!

「いいだろう!」

「かっぱ」の子孫はたいそう驚いた上で
へんてこな事をつぶやいた!

「あれ?
 いいんすか?
 やってくれるんすか?
 めっちゃ嬉しいっすわー!
 けどなぁ!
 そっかぁ!
 どうしよー!」

YESと返事したのに
”どうしよう”とは何事か!

「いやぁ実はですねー!
 今日は二段構えで作戦練ってたんですわー!」

なんだ二段構えとは?

「いやねー!
 まずねー!
 僕がお願いして断られてねー!
 そっから西野さんが来て
 直接お話してもらおうと思ってたんですわー!」

しばらくして登場した「あっくん」は
「神夏磯」から私の返事を聞いて
きょとんとしていた!
しかしやがて
大騒ぎを始めた!
まるで子供のように飛び跳ねて喜んでいた!
彼はそういう感情表現をする男なのだ!
そこからなぜか
「カミさん」
「喜劇王・川下大洋」
「平田敦子」などが乱入して
”大騒ぎした記録”も『ひろぐ』には残っている!

私は『ドーナツ博士とGo!Go!ピクニック』を
演出するにあたって
「あっくん」に一つだけ条件を付けた!
それはとても簡単なようで
なかなか難しい事だった!

「君も俳優として出演なさい!」

TV出演をメインとする「あっくん」だ!
上演期間が1週間を越える舞台になど
これまで出演した事がない!
しかし私はどうしても「あっくん」を出演させたかった!

私が脚本家をしていて最もひろぐのは
私の脚本で心を動かしてくれている
お客さん達の顔を正面から見ている時だ!
私の脚本で大笑いしてくれる
お客さん達の声を舞台という特等席で聞いている時だ!
だから私は
例えほんの少しであろうとも
俳優のふりをして自分の作品に出演する!
自分で作り出した舞台作品の空気を
ちゃんと自分で呼吸したくて
そのステージの上に立つ!

ほんの数回の上演を客席で見て
”はいこれでもうおっけーです!”
とコメントを残して立ち去り
あとは最終日の打ち上げまで現れない
そんな作家・演出家は多い!
しかし私はそういった人達が
へんてこりんでたまらない!
それはまるで
真夏に自動販売機で缶ジュースを購入しておいて
取り出さずに立ち去る人のようなものだ!
ただの奇行に過ぎない!
作った作品の熱や空気を
最初から最後まで感じずして
一体どんな喜びがあると言うのだろうか?
恐らくは
”すぐに次の作品に取りかかれるのでお金が儲かる”
という貧しい喜びしか得られまい!

私からそれを聞いた「あっくん」は
しっかりと出演を約束してくれた!
自分が書いた作品を最高に満喫する準備をしてくれた!


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『ドーナツ博士とGo!Go!ピクニック』は
そもそも私が所属するPiperの作品
『ひ〜は〜』に刺激を受けて書かれた物だった!
「『ひ〜は〜』を自分の物にしたい!」
という不思議な衝動が彼にこの脚本を書かせた!
その上で私に演出を依頼したという事は
『ドーナツ博士とGo!Go!ピクニック』を
Piper作品の流れの一部に加えて欲しい
という事に違いない!
いいだろう!
私はPiperで仕事をするスタッフに
総動員をかけた!
「やる事はいつものあれです!」
の一言で会議が終わるスタッフ達を一斉招集した!
更には舞台美術家の「中根ちゃん」には
こうお願いした!

「いつもの間取りで
 中央には私の肖像画を!」


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私はこの作品の最初と最後に
脚本を付け足すつもりでいる!
私が舞台上で一人語りを行う”いつものパターン”
あれを書き足せば
『ドーナツ博士とGo!Go!ピクニック』は
これまで以上に私の作品に近づく!
そうなれば
この作品はほとんど私の物になる!
それでいいのか?
いいのだ!
”盗まれた物は盗み返す”!
それが私のルールなのだ!

さーて!
久しぶりに大阪・東京の舞台で
いつもの面白い事をやってひろごうか!
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ちなみにチラシのデザインは
『エル・シュリケンvs悪魔の発明』に引き続き
『ひろぐ』記事常連でもある
デザイナーの「笹田子爵」による物!
なかなか素敵な出来である!
明日28日は『ミヤネ屋』でもこの舞台を宣伝させてもらえるそうな!

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