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批評は再起動する
2017年4月14日号
編集長:東浩紀 発行:ゲンロン
目次
- つながりβ 第1回 きれぎれ 亀山郁夫
- 観光客の哲学の余白に 第1回 東浩紀
- スマホの写真論 第1回 記憶は場所にある 大山顕
- 批評再生塾定点観測記 第9回(最終回) 横山宏介
- 「ポスト」モダニズムのハード・コア 「貧しい平面」のゆくえ 第18回 黒瀬陽平
- アンビバレント・ヒップホップ 第8回 ねじれた自意識、ラップの生き死に 吉田雅史
- 浜通り通信 第49回 自分だけの生ではないからこそ 小松理虔
- フクシマ・ノート 第12回 人工透析患者たちの3・11 二上英朗
- 人文的、あまりに人文的 第12回 山本貴光×吉川浩満
- 新しいSFが、ここから始まった ゲンロン 大森望 SF創作講座最終講評会レポート 徳久倫康
- 〈24 Happenings in 2 parts〉――二つの「部屋」からなる二四のハプニング ゲンロン カオス*ラウンジ 新芸術校第二期成果展「直接行動(ハプニング)を待ちながら」レポート 谷川果菜絵
- 「まつりのあとに」のあとに――新芸術校上級コース成果展フォトレポート ゲンロン編集部
- メディア掲載情報
- ゲンロンカフェイベント紹介
- 五反田アトリエからのお知らせ 藤城嘘
- 編集部からのお知らせ
- 編集後記
- 読者アンケート&プレゼント
- 次号予告
※渡邉大輔「ポスト・シネマ・クリティーク」は今号は休載です。
表紙:批評再生塾第1~2期修了生たち。ゲンロンカフェにて、主任講師の佐々木敦さん、ゲスト講師の東浩紀とともに。 撮影=加藤甫
(編集部より)
今号から始まった巻頭リレーエッセイ「つながりβ」は、ゲンロンカフェにお迎えしている多彩なゲストの方々に、日々の興味関心事、イベントへの意気込みなどを自由に寄稿いただくコーナーです。
第1回 亀山郁夫「きれぎれ」
「五匹の象」への挑戦がはじまってから、はや一二年。正確には、二〇〇五年一二月、モスクワの都心ボリショイ劇場の裏手にある安ホテル・ブダペストが原点である。ソ連製の粗悪な椅子が原因の凄まじい肩こりに苦しめられながら、「第一の象」の翻訳に没頭した。そして今、私がとりかかっているのが「第四の象」、『白痴』。「第三の象」、『悪霊』を終えてから四年半が経過したが、全四巻中まだ二巻しか出ていない。しかし、かりにもしこの「第四の象」で打ち止めにするとしたら、今の私は、まさに最終ラウンドないしはゴール直前にあることなる。マラソンで言うなら、四〇キロ過ぎ。そもそも翻訳は、脱落を許されないマラソンであり、どんなに腹が痛かろうが、足が棒になろうが、走ると決心した以上は、最後まで走りきらなくてはならない。ただし、ゴールが見えてくれば、いきおい、ペースも上がり、集中力も生まれる。それが今の私である。
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