『ワレサ 連帯の男』という映画を見た。ポーランドの政治的なテーマを撮り続けているアンジェイ・ワイダ監督の作品だ。主人公のワレサは、1980年、ポーランドの労組「連帯」を組織し、その初代委員長を務めた人物だ。
70~80年代、ポーランドを含む東欧諸国はソビエト連邦によって実質支配されていた。検閲、思想統制があたり前という社会状況のなか、「連帯」は結成された。
それまでは政府系組合しかなかった。だが「連帯」は、はじめて労働者によって組織されたのだ。はじめての自主的かつ全国規模の労働組合だったのである。
だが81年、政府は戒厳令を公布、多くの関係者を拘束する。「連帯」を率いるワレサは、一労働者から指導者となり、労働者のため、民衆のために闘うことになる。そして、この「連帯」の闘いが口火となって、東欧の民主化が実現したのだ。
自由な議論や思想を禁じられた社会とはいかなるものか。その恐ろしさを改めて感じるとともに、民衆の力によって、社会を変革できるのだということに、震えるような感動を僕は覚えた。
ワレサがいなければ、ポーランドの民主化、ひいては東欧の民主化はなかったかもしれない。しかし、この映画は、ワレサを「英雄」としてではなく、きわめて人間的に描いているのがとても興味深かった。
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