田原総一朗 アベノミクス正念場、経済成長のヒントを「京都」で見つけた!
今年は「アベノミクス」の正念場だ。「大胆な金融政策」「機動的な財政政策」というふたつの矢に続く、3本目の矢「成長戦略」がうまくいくかどうか。そのために、政府がすべきことはたくさんある。とりわけ「規制緩和」が急務だろう。
そして、当然のことではあるが、経済成長には、やはり民間が元気になることが必要だ。そのためには、どうしたらいいか。そのヒントは、京都の企業にあると僕は考えている。
京都には、世界シェアでトップクラスの企業がある。島津製作所、京セラ、任天堂、村田製作所など、たくさんある。
いくつかの京都の企業のトップに、「どうして京都には個性のある、元気な企業が多いのか」と僕は聞いたことがある。すると、ある企業の経営者は、「京都は狭いから互いの顔が見える、だから助け合うんです。『共生』なのです」と答えた。すばらしいことだ。だが、僕はこういう綺麗な言葉を信用しない。だから少しひねくれて、「少なくとも邪魔はしないんですね」と聞き返すと、「そうです」という答えが返ってきた。
企業にとって、もっとも「邪魔」なこととは何か。それは「真似」をされることだ。京都の企業にはそれがない。他の企業の真似はせず、独自のものを目指す。だからオリジナリティがあるのだ。
口でいうのは簡単だが、「真似」をしないというのは大変なことだ。どこの企業も、ほんとうはオリジナリティでがんばりたいのだ。けれどなかなかがんばりきれず、つい真似してしまう。
では、なぜ京都の企業はオリジナリティを保ち続けることができるのか。この僕の疑問に対して、「社員同士に『格差』をつけないことが大事だ」という答えがある企業のトップから返ってきた。
例えば島津製作所だ。いわゆる下請企業のことも「協力企業」と呼んでいる。やはり僕は最初、「協力企業」という言い方は綺麗すぎる、と感じた。名前だけならいくらでもかっこよく言えると。けれど彼らは、給与や海外出張や研修など、本当にほとんど格差をつけていなのだ。
また、他の企業のトップは、もうひとつ大事なことがあるという。それは「社員教育」だ。社員にどんどんチャレンジさせるのだ。新人にチャレンジさせれば、たいていは失敗する。その失敗したときに、どうするのか。京都の企業は、もう一度、チャレンジさせるのだそうだ。
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