特定秘密保護法案の参院審議が本格化している。ここでは本来の問題である「特定秘密」がいま、どういう扱いになっているのか、について確認しておきたい。
というのは、まだ法案は成立していない。
では、いま「自衛隊の暗号」とか「日本で活動しているスパイ」といった国家の秘密は世間にずぶずぶに漏れているのか。
そんな秘密を含めて「あらゆる情報は国民のものだ」という立場もあるかもしれない。
だが、私は「国家に守るべき秘密はある」と思う。
政府も当然、そう考えて、いまでも重要秘密を守る枠組みを構築している。
それは、内閣官房に設置された「カウンターインテリジェンス推進会議」だ。
内閣官房長官を議長に内閣危機管理監ら関係省庁幹部が構成員になっている。事務局を務めているのは内閣情報調査室だ。そこのトップは内閣情報官である。
カウンターインテリジェンス推進会議が定める特別管理秘密とは
この会議は第1次安倍晋三政権当時の2006年12月25日に「内閣総理大臣決定」を根拠に発足して以来、日本の重要秘密保護の柱になってきた。会議は秘匿すべき「特別管理秘密」の定義を定めている。それは次のようだ。
「国の行政機関が保有する国の安全、外交上の秘密その他の国の重大な利益に関する事項であって、公になっていないもののうち、特に秘匿することが必要なものとして当該機関の長が指定したもの」
これを読むと、あえて該当条文は挙げないが、今回の法案が定めた「特定秘密」と実質的に同じであることが分かる。
つまり、これまでも政府は実質的に特定秘密を指定してきたのだ。
具体的にどういう取り扱いをしているか、各省庁によって異なるが、たとえば、警察庁は訓令(PDFです)で特別管理秘密について「内閣衛星情報センターが偵察衛星で得た画像情報」とか「重要政策に関する情報検討会議で警備局長が議事とした事項」とか「他の官公庁が国の安全、外交上の秘密として、特に秘匿することが必要としたもの」などと定めている。
秘密は取り扱う人間の適正評価も重要だ。
今回の法案がどうなっているかといえば、特定秘密を取り扱える人間を厳格に制限して、たとえば「テロリズムとの関係」とか「精神疾患に関する事項」とか「飲酒の節度に関する事項」などについて適正評価をする、と条文で定めている(第12条)。
これまではどうだったのか。
私は「政府には、従来から『特別管理秘密』がある」という話を聞いて、それはいったい、どういうものか、念のために関係機関の最高幹部に確かめてみた。
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