安倍晋三首相が消費税引き上げを決めた。
長谷川幸洋 コラム第21回 あえて言う 安倍首相はやっぱり消費税引き上げを先送りすべきだった
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安倍晋三首相が消費税引き上げを決めた。
本人が記者会見で「最後の最後まで考え抜いた」と明かしたように、一時は先送りに傾いた時期もあったようだ。それでも、政治は結果である。
今回の増税が吉と出るか凶と出るかは、来春以降の景気と税収状況を見なければ即断できない。ただ、同時に決めた景気対策の中身をみると、安倍の思惑とは裏腹に、かなり財務省に押し込まれた印象がある。
それは減税規模が1兆円程度になった一方、歳出増が5兆円規模になったことであきらかだ。
先のコラムで書いたように、そもそも右手で増税する一方、左手で景気対策をするのが政策として矛盾しているのだが、百歩譲って、増税を減税で打ち消すなら国民経済全体の税負担としては中立になる。
だが、増税と同時に歳出ばらまきをするなら、単に政府の規模が大きくなるだけだ。
だから、安倍は補正予算による歳出ばらまきには否定的だった。減税財源についても増税分を充てるというより、アベノミクスによる自然増収分、約4兆円を念頭に置いていた。
ところが、結果的に減税は1兆円程度にしかならなかった。
財務省は当初、ゼロ回答だったので、そこからみれば前進だが、とても十分とはいえない。
しかも法人税引き下げは「真剣に検討」、復興特別法人税も「2013年度末の廃止を検討」である。
霞が関用語で「検討」といえば、決定ではない。
文字通りの検討であって、これから結論がどうなるか分からない。年末まで2カ月もあるから、財務省は間違いなく減税の先送りを狙って巻き返すだろう。財務省からみれば、今回の決着はぎりぎりで「減税先送りに成功」した形だ。
バトルは、実はこれからが本番なのである。
減税の中身をみても、投資減税と賃上げ減税が中心である
企業経営者からみれば「自社製品やサービスの売り上げが伸びる」という見通しがあって初めて、設備投資や賃上げを考えるのが普通だ。消費増税で最終需要が冷え込むと分かっているのに、あえて投資や賃上げの約束はできない。
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