今週のお題…………「なぜ○○○○は成功したのか?」(○○○○の部分は執筆者によります)
文◎谷川貞治(巌流島・事務局広報部長)……………月曜日担当
文◎谷川貞治(巌流島・事務局広報部長)……………月曜日担当
『巌流島チャンネル』のブロマガ、2月のお題は過去に成功した格闘技イベント(ジャンル)を検証することで格闘技の復興を考える月間。これまで、K-1、グレイシー柔術、PRIDEと毎週テーマを設けてきましたが、最終週となる今週はあえて「なぜ○○○○は成功したのか?」として「○○○○」の部分は、執筆者に自由に選んでいただこうと考えています。
今、世界一の格闘技団体としてイメージされているUFCでもいいし、プロレス界に君臨するWWEでも、新日本プロレスでもいい。あるいは極真会館や少林寺拳法、柔道なんかも面白いでしょう。マスコミの重鎮の皆さんが何について書かれるのか? 私自身も楽しみにしています。
それではまず、月曜日担当の私・谷川貞治から。私は最初UFCのことでも書こうかなと思いましたが、アメリカの風土が生み出すスポーツ性(競技性)、PPVビジネス、記憶よりも記録、そんなことをいろいろ考えてみようとしてみたものの、少しマニアックになりそうなのでまた別の機会にすることにします。
そこで、次に浮かんだのが、新日本プロレスです。新日本プロレスといっても、猪木さんが立ち上げた新日本プロレスではなく、今の新日本プロレスについて。今や格闘技よりプロレスの時代。正確に言えば新日本プロレスの時代になっています。普通にテレビを見ていても、格闘家より断然プロレスラーの方が出ていますよね。その新日本プロレスがなぜ人気があるのかは、私もとても興味があります。
実はK-1が破産した時、一番最初に声をかけてくれたのが、新日本プロレスの木谷会長でした。私自身は木谷会長のことも、現状の新日本プロレスのこともよく知らなかったので、これには随分驚いたし、本当に嬉しかった。それから木谷会長に食事に誘われ、新日本プロレスも数回見に行かせていただいたこともあります。
その中で感じたことは、私が知っている新日本プロレスは全く存在しない別世界。もっと言えば、創業者の猪木さんの影が全くない世界観に驚きました。会場は若いファンで埋め尽くされているのですが、そこには猪木なるものの世界は全くありません。それは見事なものでした。これまで私が見ていた新日本プロレスは、いつも猪木の呪縛を超えることが、テーマとなっていました。それが超えられず、猪木プロレスはPRIDEへと向かっていく中で、いつももがき苦しんでいたイメージがあります。
まして、その新日本プロレスがオーナー猪木の手から他人の手に渡ったわけですから、常識的に考えてうまくいくはずがありません。それほど、ソフトを受け継ぐってことって、難しいことなんです。二代目でなくなることなんてよくあることで、創業者が偉大であればあるほど、引き継ぐことは難しことです。私なんかはエンターテインメントを引き継ぐことなんて、まずありえないと思っているほどです。
しかし、それを木谷会長は見事にやり遂げている。本人は猪木プロレスも好きで、PRIDEも好きな方ですが、猪木さんの影を消したことは見事としか言いようがありません。エンターテインメントの世界では、一度ダメになったソフトは2度と復活することはないと言われています。何かを成し遂げたにも関わらず、転落した人間が再び浮上することもなかなか難しい。特に違う業種に進出して再び成功することはありますが、同じ職種で復活する例は滅多にないと言われています。それはなぜかというと、過去の成功体験にとらわれすぎてしまうからです。もし、再び浮上するには、過去の一切を捨てきることができるかどうか。そこまでやらないとダメなんでしょう。
木谷会長になってからの新日本プロレスは、それが自然とできていました。これは猪木プロレスの復活ではなく、そんな過去は過去のものとして捨て去った、全く新しい成功だったのです。私は巌流島をやる上で一番注意しているのは、K-1とかPRIDEでの自分の成功体験をいかに忘れることかだと思っています。何かをやる時、K-1やPRIDEと同じことをやっていないか、必ず立ち止まってみることにしています。特に同じ人間とやると、その同じ人間が成功体験が抜けきれず、新しいものを作る大きな足かせになってしまいます。だから、できるだけ新しい人とやっていこうと考えています。私はK-1やPRIDEを復活させようというんじゃなく、全く違うものを作り出すんだという気持ちこそが、復活につながると思っているんです。
それをまさに体現している新日本プロレス、木谷会長は凄いなぁと思っています。
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コメント
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谷川さん、ブシロードと業務提携を結びましょうよ。
アニメ巌流島製作やカードゲーム化、世界配信等各種メディアをフルに使う戦略、芸能事務所に所属させての選手の露出度アップ等、見習って生かせる面が多々あります。
やはり若い層に人気出ないと何事も続きません。