【定義次第で「駅の利用者数」は変化】

 

JR東日本     定期 83.4万人 定期外 74.7万人

京王電鉄  定期 46.3万人 定期外 27.7万人

小田急電鉄 定期 29.9万人 定期外 20.0万人

東京メトロ 定期 16.6万人 定期外 12.1万人

都営地下鉄 定期 20.8万人 定期外 14.6万人

合計    定期 197万人   定期外 149.1万人 計 346.1万人(定期券率56.9%

 

出典:平成21年都市交通年報(新宿駅一日平均乗降客数)



定期券利用者について路線ごとに分解して整理し、重複分を排除すると次のような関係になります。

 

この数字を合計した約132万人が正味の値で、これは当初の197万人に対して67%の数字となります。仮に定期外利用者も同様の割合で他社線から流入しているとすると346万人の66%231万人強となりますから、新宿駅の「利用者340万人」以上という数字は110万人ほど「水増し」されていた可能性があるわけです。
 


ただし中央線・山手線・埼京線・湘南新宿ラインなどJR線同士の乗り換え客はこの数字に含まれていません。私たちがイメージする「駅利用者」はこちらも含めた数字の方が実感に近いでしょう。同じく都市交通年報のデータによると、新宿駅で山手線(埼京線・湘南新宿ライン含む)と中央線(各駅停車と快速含む)を乗り換える人は、定期券利用者で57.2万人、定期外利用者で65万人もいるのです。これを加えると350万人以上と今度はむしろ増えてしまいました。

 

※ただし統計上、山手線と埼京線・湘南新宿ラインの乗換客、中央線の快速と各駅停車の乗換客は区別できないので、実際に新宿駅で乗り換えする利用者はもっと多いと考えられます。



あるいは新宿駅で乗降しないけれども、電車に乗ったまま通過している人もたくさんいるわけです。駅構内を利用しているとは言いづらいですが、広い意味では駅設備を利用している人たちです。これも同様に算出すると、山手線で85万人、中央線で54万人、地下鉄丸ノ内線が16万人、合計155万人となります。ギネス記録の説明文にあった「passengers per day pass through the station」の場合、こちらも加えた方がニュアンスが近いような気もします。となると約500万人です。

 

駅を利用または通過する人の延べ人数は以上のようになりますが、新宿駅の利用者がユニーク数でどれだけいるのか考えると数字はまた変わってきます。鉄道利用者のほとんどは行きと帰りで同じルートを使って移動しますので、実際に利用している人は乗降人員の半分、つまり乗降客数ベースなら116万人、JR相互の乗換客も含めると175万人となります。Wikipediaには「新宿駅の乗降客数は横浜市の人口に匹敵する」とありましたが、ユニーク数と延べ人数を比較するのはちょっと違和感がありますね。

 

 

全ての駅を計算したわけではないですが、おそらく日本国内には新宿駅を上回る利用者を持つ駅はないと思われます。ということは世界で一番利用者が多い駅というのも間違いないでしょう。


 

ただ定義次第で利用者数や2位以下の順位は随分変動します。例えば東京駅もJR相互の乗り換えを含めれば概算で200万人くらいが利用しているので、まとめサイトのランキングにあった「1位 新宿(年間12.8億人)」と「8位 東京(年間3.9億人)」ほどの差はないはずです。


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【乗降人員の数え方】


私鉄のターミナル駅は乗降客数の計算で有利!?


ということは複数の会社が乗入れる駅はそれぞれ重複して計上されるため、見た目の数字が膨らんでいくことになります。まとめサイトに掲載されていた「利用者数ランキング」を改めて見てみると、その条件に当てはまる駅ばかりだということに気づくでしょう。

 

1位 新宿(年間12.8億人)    JR東日本・京王・小田急・メトロ・都営

2位 渋谷(年間10.9億人)    JR東日本・東急・京王・メトロ

3位 池袋(年間9.1億人)     JR東日本・東武・西武・メトロ

4位 大阪/梅田(年間8.3億人)JR西日本・阪急・阪神・地下鉄

5位 横浜(年間7.7億人)     JR東日本・東急・京急・相鉄・地下鉄

6位 北千住(年間5.3億人)   JR東日本・東武・TX・メトロ

7位 名古屋(年間4.0億人)   JR東海・近鉄・名鉄・あおなみ線・地下鉄

8位 東京(年間3.9億人)     JR東日本・JR東海・メトロ

 

ではもっと実態に近い数字を算出する方法はないのでしょうか。実はこれがなかなか難しいのです。鉄道は改札にきっぷを通せばそこで完結です。前後にどの路線に乗ったのかは分かりません。IC乗車券の記録を細かく追跡すれば把握できるかもしれませんが、プライバシーの問題もあり、そのような利用は行われていません。

唯一の手掛かりとなるのが定期券です。PASMO登場以前はJRSuica定期と私鉄の磁気定期を別々に持つ人も少なくありませんでしたが、PASMO導入以降は(ICカードは2枚同時に使えないため)連絡定期券が一般化しています。定期券はルートを指定して購入するため会社だけでなく路線・乗換駅も把握できるのです。

 

鉄道会社が一般に公開しているデータにはこのような細かい情報は含まれていませんが、国土交通省が発行する「都市交通年報」には各路線各駅ごとに乗り換え利用者の総数が記載されています。


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【都内路線も再開発中】

  最近は路線の延伸や乗合が増えてきて乗降者数も変化してきています。

便利になればなるほど、都心の人口増加や需要増加に繋がりそうですね。


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