杉田かおる、鶴見辰吾、伊藤つかさ、川上麻衣子、風間俊介、上戸彩......、数多くの若手俳優を育て輩出してきた『3年B組金八先生』(TBS)。
数多くの生徒の中で唯一金八に「私は君が嫌いでした」と言われた生徒がいる。
第7シリーズで狩野伸太郎を演じた濱田岳である。濱田は現在大河ドラマなどにも出演中でドラマ・映画に欠かせない名優である。そのルーツはやはり『金八』だろう。
「史上最悪の3B」と呼ばれたクラスの中でムードメイカーだった狩野。「話しあおう」と言った金八が一人で長話をしていると、「それは話し合いじゃなくて説教だ」などと金八にとって痛いところを突くような、ドラマをかき回す存在だった。ドラマ終盤で、クラスで起きた問題の責任をとって教師を辞職する決意をした金八に対し、狩野は「ねぇ、アンタ 誰?」と言い放った。「アンタ、金八先生じゃねぇのかよっ!」と。
このシリーズは過激なエピソードに頼ることが多く、それに対する金八の弱腰の対応が金八らしくないと批判されることも多かった。そんな状況でシリーズを引っ張っていたのは間違いなく狩野を演じる濱田岳の名演によるところが大きかった。
卒業式では、金八から一人ひとり言葉をかけるのが恒例だ。この言葉は脚本家ではなく武田鉄矢本人が考えるという。第7シリーズでもそれぞれに一文字漢字を選び、それとともに「贈る言葉」をかける。
金八は狩野に「新」という漢字を贈った。「立っている木を斧で切ること。そうすると、樹木のいい香りがします。どうか、香りのある男になってください」と。そして武田鉄矢は濱田岳演じる狩野に対し「初めて会った時、私は君が嫌いでした」と言ったのだ。
1月20日に放送された『ワイドナショー』(フジテレビ)でその時の状況を東野幸治から問われた武田鉄矢はこう答えた。
「濱田岳っていうのは金八を混乱させる生徒なんですよ。どう見ても濱田は『金八』が終わっても俳優をやり続けるって予感がした子なんですよ。だから濱田に関しては最後まで役者であることを要求した。芸能界辞めていく子はだいたい分かっているから泣きじゃくればいいのよ。いい思い出にしてもらう。でも濱田は最後の一行まで粘って芝居する。だからヤツだけに泣くことを許さなかった。泣きで逃げるなって。みんな泣いてるのに自分だけ泣いちゃいけないっていうのは一番ツラい。ツラかったとは思うんですけど責任ですよね」
当時演出を務めた福澤克雄からも「泣いたら殺す」などと厳しい演出を受けたという。
「君が嫌いでした」という後に「でも今は、相当好きです」と続けられた言葉を濱田は顔をくしゃくしゃにしながら受け取っていた。そして濱田岳は「香りのある」名俳優に成長したのだ。
文=てれびのスキマ(http://d.hatena.ne.jp/LittleBoy/)
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