━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
岡田斗司夫のニコ生では言えない話
 岡田斗司夫の解決!ズバっと 2015/11/30
───────────────────────────────────

おはようございます。

今日は『解決!ズバッと』はお休み。
絶賛発売中の岡田斗司夫の最新著作『カリスマ論』から、ハイライトをお届けします。

───────────────────────────────────

カリスマは教義を持たない」


 教義を持たないのも、カリスマ型の特徴です。
 教祖型は、プログラミングや英会話のようなメソッドを教える場合でも、「こういう生き方をしなければならない」と信者や弟子に求めます。
 カリスマは、そんなことをしたりしません。

 例えば、カリスマ型の代表、スティーブ・ジョブズ。
 ややこしいことに、彼自身は教祖でありたかったようですが、結果的に彼はカリスマでした。
 ジョブズが開発を指揮したアップル製品は、世界中で熱狂的なファンを生み出しました。
 ファンたちはアップル製品の素晴らしさや、ジョブズの名言について、熱く語ります。

 では、ジョブズの生き方を受け継いだファンはいるでしょうか?
 ジョブズは菜食主義者で、仏教に傾倒し、若い頃はヒッピー文化に影響を受けて社内を裸足で歩いたりもしていました。
 でも、そんな彼のライフスタイルに影響を受けた人はほとんどいません。
 ジョブズにとっては残念なことに、彼には教祖力というものがとことんなかったようですね。

 あれほど面白い製品を生み出し、大勢の人に影響を与えたにもかかわらず、今でもジョブズのことをボロカスに非難する人は絶えません。
 教祖力が強い人だと、こうはならないものなんですけどね。

 カリスマというと、相手にものすごく強い影響力を与えて心身を縛る。
 自分の言う通りに相手を支配する、そんなイメージを持つかもしれませんが、それは教祖型やメンター型リーダーの特徴です。
 教祖やメンターが弟子を縛るからといって、それがダメだというのではないですよ。
 閉鎖的な人間関係であればあるほど、学習効果が高くなる可能性もあります。
 指導者と一対一に向き合い、その人の人生観を受け入れることで、才能を開花させたアスリートや音楽家なども大勢います。

 この本をわざわざ買って読んでくれる人は、おそらく勉強熱心でしょう。
 私の経験上、勉強熱心な方の半分くらいは、閉鎖的な人間関係で学ぶ方が適しているように思います。
 誰かから何かを学びたいと思ったら、まず自分がどういう人間関係を求めているのかを自問すること、そして指導者がどういうタイプかを見極めることです。
 一対一の濃密な人間関係を求めている人がカリスマ型の人間に近づいても物足りないでしょうし、そうでない人が教祖型やメンター型に師事すると息が詰まってしまうことでしょう。

 この開放型、閉鎖型という軸は、自分自身でビジネスを始める時にも重要になってきます。
 自分の考えを相手にとことん理解してもらい、その人を手放したくないと感じるなら、教祖型やメンター型を目指すべき。
 間違っても、カリスマ型を目指すべきではありません


カリスマ論
 ――いまもっとも幸せな生き方は「小さなカリスマ」になること
 Amazonのリンクはこちら