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岡田斗司夫のニコ生では言えない話
 岡田斗司夫の解決!ズバっと 2014/12/23
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おはよう! 岡田斗司夫です。
今日も『解決!ズバッと』をお届けします。

今回は『「お金」って何だろう?』 からです。
僕が質問し、山形浩生先生に答えてもらった対談を、Q&A形式で、分載しながらお届けします。
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岡田斗司夫さん/56歳/作家/「公共事業は無駄ではない?」
【質問】
岡田 関西ど田舎出身の商売人である僕は、商売はまず客と商品ありきだと思っていて、たぶん個人商店とか町工場レベルでは、銀行から融資を受けないほうが健全なんでしょう。でも、景気対策といった大きな話になると、まず最初にお金ありきなんですね。


【山形浩生先生の回答】

山形 実をいえば、お金と現実の景気が関係していることを、経済学者もきちんと理屈として理解するようになったのは、ケインズ(1883‐1946年)以降のことなんですよ。ケインズ以前は、景気というのは放っておけば回復するものだと考えられていました。

岡田 みんなが一生懸命働けば景気がよくなって失業もなくなると何となく思われていたんだけど、ケインズは、政府が金利をコントロールすることで景気も調整できることを示したと?

山形 はい。各国中央銀行の金融政策が、実際に景気に影響を与えています。そして、ケインズの理論において、金利の調整と並んで重要なのが「公共事業」です。金利をコントロールすることで市中にお金が流れ、企業がさまざまなプロジェクトを行うことで、雇用も生まれます。

 けれど、例えば金利が5%なら、企業は5%以上儲かるプロジェクトしか手がけないでしょう。それなら、どうするか?あまり儲からないけど、重要なプロジェクトは政府がやればいいということになります。これが公共事業です。

岡田 ただでさえ儲けが出ないことがわかっているプロジェクトを、あの金儲けが下手で無駄遣いが大得意な奴らにやらせるんですか?
山形 そうです(笑)。
岡田 確かに、道路を敷いたりする仕事は必要ですからね。

山形 政府は金儲けが下手で損ばかりしているとは言われますが、儲からないからこそ政府がやるべきだという考え方もあります。道路建設や高齢者・障がい者 への福祉などは、儲からないことが最初から明白ですから。民間企業が手がけないプロジェクトを政府が行って、失業している人たちを雇うというのも、金融政 策と並んで重要な経済政策です。

岡田 儲からないけど、とにかく何かを政府がやると。でも、雇った人に無意味な労働をさせてはダメなんですよね。有意義なことをさせないと。

山形 いえ、最悪の場合には無意味なことでもよいと言われています。ピラミッドを造るとかでもいいんですよ。
岡田 1日5000円で失業者を雇って富士山を掃除していたら、世界文化遺産じゃなくて、世界自然遺産になれていたかもしれないなあ。

山形 そうそう、公共事業というのはまさにそういうプロジェクトです。永遠に公共事業を続けていると国の借金が膨れあがってしまいますが、景気は変動する ものですから、しばらくすれば民間企業もさまざまなプロジェクトを手がける余裕が出てきて、公共事業は減らせるだろうと。

 不況になっているときには、一時的に政府が公共事業で雇用を作る。できれば、富士山の掃除とか多少は役に立つ仕事がいい。それはどんな仕事か、いくらお金をかければいいのかを決めるのが、国が行う経済政策の残り半分です。

 公定歩合や預金準備率で金利を決めるのが金融政策で、日銀が担当します。お金を出して公共事業を行ったり、税金や国債でお金を工面したりするのが財政政策で、財務省が担当するのはこちらですね。


【まとめ】
 政府が行っている、あまり儲からないが重要なプロジェクトが公共事業。公共事業で雇用を作っている。


【最新著作】
山形浩生先生との対談本『お金って、何だろう? ぼくらはいつまで「円」を使い続けるのか?』は、僕が山形先生にどんどん質問して教えを乞う、という形式で進行しています。

このブロマガでは、その第二章を読みやすいサイズに分割して、順次お届けします。「経済の根本の根本」を、常識や思い込みにとらわれず、とことん質問し、かみくだいて、身もふたもなく解説してもらった第二章。

ぜひ、お気軽にお楽しみ下さい。
じゃあ、また明日。バイバイ!