岡田斗司夫の毎日ブロマガ 2020/01/02

 今日は、2019/12/15配信の岡田斗司夫ゼミ「『スター・ウォーズ/最後のジェダイ』特集」からハイライトをお届けします。


 「最初の本家スター・ウォーズの3部作と、時代を遡った元祖スター・ウォーズの3部作がある」と言いました。
 元祖のシリーズが終わった後、2012年、ルーカスフィルムを買収したディズニー社は、マーベルシネマティックユニバース(マーベルヒーロー映画)の成功によって、「『スター・ウォーズ』シリーズはこれからも続けるべきだ」と主張しました。
 ジョージ・ルーカスは、これに対して、「いや、俺はやらないけど、やるんだったら協力するよ」みたいなことを言ってたんですけど。
 その結果、2015年から今に続く3部作の公開が始まりました。

 この新シリーズで最も必要だったのが「キャラクターの世代交代」だったんですよ。つまり、「前シリーズまでのキャラクターに頼らない」ということ。
 なぜかと言うと、もう、実に簡単で。中国市場という問題があったからです。
 実は『スター・ウォーズ』というのは、中国では全然当たらないハズレコンテンツなんですね。面白さが伝わってないし、知名度も低い。
 なぜかと言うと、ちょうど一番最初の本家スター・ウォーズが公開した頃、中国は文化封鎖というのをやっていたので、西洋の映画が中国に入って行かなかったんですね。なので、中国の人達というのは『スター・ウォーズ』の面白さを知らなかったんです。
 彼らが初めて見た『スター・ウォーズ』は、元祖スター・ウォーズのエピソード1~3の、暗い『スター・ウォーズ』だったんですね。アナキン少年がダース・ベイダーになっていく話だったんですよ。なので「あれ?」と。あんまり盛り上がらないままだったんですよ。「この後には、すごい痛快なルーク・スカイウォーカーの冒険がある」というのが、よくわからないままあれを見ちゃったものだから、「あれ?」になってるわけですね。
 なので、新シリーズを作っても「ルーク・スカイウォーカーが~」とか「ダース・ベイダーが~」とか「アナキンが~」とか言っている限り、中国では客が来ないわけなんですよ。
 だから「もう、全部1回やり直して、キャラを新しくする」というのが理想だったんですね。
 ところが、ジョージ・ルーカスは、ディズニーにルーカスフィルムを売った時の「『スター・ウォーズ』の続編やっていいよ」という話し合いの中で、「前の『スター・ウォーズ』を大事にしろよ?」という条件を、当たり前ですけど、厳しく付けたわけですよ。
 なので、ディズニーとしては「さて、どうしよう?」と。「中国でヒットさせるためには、もう『スター・ウォーズ』の名前だけを使って、とにかく完全に新しくした方が良いのはわかっている」と。「しかし、本当にそんなのを作ったら、たぶん中国以外の世界中の『スター・ウォーズ』ファンが怒るよ」と。「それはまずい」と。
 ジャー・ジャー・ビンクスという、世界中で嫌われたキャラがいたんですけど、あの時の騒動がみんなの頭の中にはあるんですね。なので、嫌われるようなことはやりたくない。でも、中国の人にもアピールしたい。
 そんな、すごく難しい状況の中、新しい3部作を作らなければいけなくなったんですね。
 そうやって、作られた『フォースの覚醒』という新シリーズだったんですけど。
 その続編である、これから話す『最後のジェダイ』は、悲しいことに、やっぱり中国市場でヒットしなかったんですよ。どれくらいヒットしなかったかと言うと、『最後のジェダイ』なんて「公開途中で打ち切りになった」ってほどですから。俺、『スター・ウォーズ』で、そんな話、聞いたことがないんですよ。「客が入らないから打ち切りになった」って。
 『最後のジェダイ』は、中国では、それくらいヒットしなかったんですね。
 なぜかと言うと、やっぱり、前のシリーズを背負う形になっちゃってて、「結局、ルーク・スカイウォーカーって誰なの?」とか「結局、ダース・ベイダーって誰なの?」っていうお話になっちゃったからなんですよね。
 虻蜂取らずというか、二兎を追う者は一兎をも得ずというか。まあ、そんな感じだと思います。「前作からのキャラや設定をゼロに出来なかったからだ」と僕は思っているんですけど。

 で、今、日本でも同じような状態なんですよ。
 日本でも「『スター・ウォーズ』を見たことがない」とか「もう、長過ぎてよくわからない」とか、そういうふうな人がいっぱいいる。あとは、もうストーリーも混乱している。
 なので、今日は、来週の金曜ロードショーでやる『最後のジェダイ』の楽しみ方を、無料の最後に話そうと思います。


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