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岡田斗司夫の毎日ブロマガ「『On Your Mark』完全解説その4〜翼のある少女に込められた悪意とは?」

2019/12/27 07:00 投稿

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岡田斗司夫の毎日ブロマガ 2019/12/27

 今日は、2019/12/08配信の岡田斗司夫ゼミ「宮崎駿の最高傑作『On Your Mark』解説[前編]」からハイライトをお届けします。


 これで、悪意その1「残酷描写」、悪意その2「放射能」という話が終わったので、ここから本題の悪意その3「翼の少女」に入ります。
 ここも無料なので、もうちょっとだけ我慢して聞いてください。すみません、これをきちんとやらないと、その次のレベル3に行けないんですよ。
 レベル3は、この話をもう一度、全部ひっくり返しますから、もうちょっと待っててください。

 では、悪意その3、翼を持つ少女です。
 さっき、3人が車に乗ったままガーッと落ちている時に、僕は「この少女はなぜか羽ばたかない」と言いました。なぜ、この女の子は羽ばたかないのか?
(パネルを見せる)

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【画像】落ちていく3人 © 1995 Studio Ghibli

 この女の子を、一生懸命アスカが外に出して飛ばそうとする。「飛べ、飛べ!」と、2人は説得するんですけども、どんなに説得しても彼女は飛ばずに、一緒に落ちていって死んでしまうんですよね。
 これなぜかと言うと、そもそも、この女の子は飛べないんですよ。飛べない。実は、一度も「飛ぶ」とは描いていないんですよ。彼女が飛ぶのは、チャゲとアスカが夢想していたシーンの中だけなんですね。
 チャゲとアスカが夢想していたシーンには、空を飛ぶ女の子のインサートカットがあったから、あそこで僕らも「飛ぶんだ」って思っちゃうんですけど、そうじゃないんですよ。
 そもそも、彼女にはそんな筋肉がついてないんですよ。
 あのね、思い出してほしいんですけど、『ハウルの動く城』で魔法使いのハウルはちゃんと鳥に変身して飛ぶんですけど、その時には鳥の筋肉がついてるんですね。巨大な胸筋とか、肩甲骨の辺りにでっかい筋肉がついているから、あれは飛べるんですよ。
 宮崎駿って、メカとか飛ぶものに関しては異常にこだわる人間だから、もしあの女の子が翼で飛べる生物だったら、肩の辺りに、ものすごいデカい筋肉を描いているはずなんですね。でも、その辺は一切描かないままなんですよ。
 なので、僕はこの女の子は、実は飛べない生物だと思っています。
 なぜなら、冒頭で、この女の子を見せる時に、肩に一切、筋肉をつけてないんですね。
 翼だけがついてる生物なんですよ。飛行機マニアの宮崎駿ですから、飛ばせる時には必ずリアリティをもって筋肉をつけるはずだと僕は思うんです。
 とは言え、これだけでは、ちょっと理由としては弱いと思います。これだけでは、まあ「岡田斗司夫の思い込みだ」と。「宮崎駿だって、別にこういう女の子を描くかもしれない」ということがあるかもわからない。
 なので、もうちょっと別の方向から説明します。

 チャゲアスは「この女の子は飛べる」という夢を見て、その夢に賭けて助け出したんですよ。
 しかし、彼女は所詮は遺伝子操作、または放射能による身体の異常で、見せかけの翼があるだけの生物なんですね。
 だから、彼女は落ちて行く時に、一度も羽ばたこうとしないんです。本当に助かりたいんだったら、「羽ばたく」とか、「翼を広げる」とかをしてもいいんですけど、そんなことをやっても翼がべキッと折れるだけ。飛ぶなんていう能力を彼女は持ってないんですね。
 自由と解放を求めるチャゲアスは、そのシンボルとして、天使を助け出すんですけど、彼女は天使ではなくて、ただの遺伝子改造された人工生物に過ぎないんです。
 うーんと、もうちょっと説明しようかな。
 これね、翼がないんですよ、この女の子。
 これは、最初に2人が空想するシーンなんですけど。このシーンで、宮崎駿はわざと翼を描いてないんです。
 その後、このシーンになるんですけど。無料ではここまで言うつもりなかったんですけどね。
(パネルを見せる)

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【画像】翼が生えてくる女の子 © 1995 Studio Ghibli

 翼のない女の子から、徐々に翼が生えてくるシーンが、ちゃんとあるんですね。立ち上がる時には翼がないんです。でも、いつの間にか背中に翼が生えてくる。
 この「翼がない女の子にいつの間にか翼が生えてくる」というシーンをわざわざ描くところが、今回のハヤオさんの意地悪なところなんですね。
 夢を見ちゃったんですよ、この2人は。自由と解放を求めるあまり、そのシンボルとしての天使を助け出すんですけど、しかし、彼女は本当は天使なんかではなく、ただの遺伝子改造されたか弱い女の子なんですよ。
 そんな女の子と共に奈落に落ちて行く時に、チャゲアスは自分の願望を投影して、「ほら、飛んで!」と励ますんですけど、少女は飛べずに、一緒に死んでいくことしか出来ないんですね。
 革命とか社会運動で、誰かがシンボルに祭り上げられることがあるじゃないですか。マーチン・ルーサー・キングもそうですし、ジャンヌ・ダルクもそうなんですよ。
 でも、そういう人たちは神ではなくて、ただの人間。そして、そうやってシンボルに祭り上げられた人というのは、だいたい不幸な死に方をするんですね。
 これが、レベル2で描いている、このアニメの現実なんです。

 じゃあなぜ、この女の子が、曲の後半、3回目のリフレイン以降に空を飛べるようになったのか?
 そもそも、なんで3人の乗ったトラックは、ロケット噴射して飛んだのか?
 というか、さっき放射能の時に話した「『ナウシカ』の言い伝え」と、今話した「最後のハッピーエンドは全て妄想なんだよ」というのは、矛盾するような気がしますよね?
 ところがね、これが矛盾しない構造になっているんですよ。
 レベル3では、「なぜ、こんな矛盾しているような話を宮崎駿は描いたのかと言うと、こういう構造になっているからだ」というのを説明します。

 さっきも言った通り、この『On Your Mark』の話はレベル6まである上に、1つ説明する毎に、前のレベルをひっくり返すような話になるんだけども、頑張ってついてきてください。

参考文献

  • 宮崎駿『スタジオジブリ絵コンテ全集10 耳をすませば On Your Mark』スタジオジブリ、2001年
  • 宮崎駿『出発点〔1979〜1996〕』スタジオジブリ、1996年
  • 鈴木敏夫『天才の思考 高畑勲と宮崎駿』文藝春秋、2019年
  • 宮崎駿『もののけ姫』スタジオジブリ、1993年
  • 『アニメージュ』vol.206 1995年8月号 徳間書店
  • 『スタジオジブリ作品関連資料集Ⅴ』ジブリ・ジ・アート・シリーズ、スタジオジブリ、1997年

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